身余堂

2018/04/03

先頃亡くなられた直木賞作家の葉室麟の随筆集
『柚子は九年で』(文春文庫)を読んでいて、驚いた。
「身余堂」と題するエッセイがあるのだ。
葉室はこの住居を一人で訪ねたことがあり、
それを一文にしたのだ。
京都の鳴滝のあたりにこの建物はある。
ぼくは二度訪れたことがある。
一度目は、外から眺めただけ。
二度目は、そこで行われた歌会に参加した。
二回とも友人の誘いで出かけた。
何とも言えない風情が外観にも、庭にも、
そして家の中にも漂っている建物だ。
時間の感覚がなくなってくる。
閑静な住宅街を抜けたところにあり、
静かな落ちついた雰囲気にみちているところだった。
今ごろは、枝垂れ桜を見に多くの人がそのあたりを
徘徊しているだろう。
行くなら、人の少ない三月の半ばくらいが一番いいような気がする。
ところで、この建物はそもそもどういう建物かというと、
保田與重郎の住まいであった。
夫人が亡くなられた後は、
ここで歌会をしている短歌会の人を中心に管理しているようだ。
詳しくは知らない。
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岡崎の書店で、
『西東三鬼全句集』(角川ソフィア文庫)を購入。
昨年の暮れに出されている。
この本によると、
有名な「水枕ガバリと寒い海がある」は、
第一句集『旗』にある。
昭和10年の項にある「三章」の3句のうちの1句にある。

・小脳をひやし小さき魚をみる
・水枕ガバリと寒い海がある
・不眠症魚は遠い海にゐる

解説は小林恭二。
自筆年譜、初句索引、季語索引を
備えていて、お買い得の一冊。




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西村ツチカ

2017/11/28

「ビッグコミック」増刊12月17日号の
巻頭の「北極百貨店のコンシェルジュさん」は
久々にこれはと思わせる漫画だった。
作者は、西村ツチカ。
全然知らない。
しかし、凄いと思った。
こういう漫画家が突然あらわれるんだ。
高野文子以来だ。
新刊が2冊出るというから、
これは買わなくてはいけないと思った。
そんなこんなしていて、ある日、
「ちくま」12月号を見ていたら、
表紙裏の「ちくまさん」という漫画も
西村ツチカが書いていることを知った。
8コマの漫画だが、とてもいい。
味がある。
「痺れた」と言ったほうがいいかな。
ところで、この「ちくま」の新連載、
「東京のぼる坂くだる坂」を読んだが、
このエッセイもとてもいい。
今回は「幽霊坂」。
書いた人は、ほしおさなえ。
漢字で書くとどうなるんだろう。
「星尾早苗」かな。
あるいは「干緒早苗」かな。
とにかく全く知らない。
でも、この人の文章は読みたくなるものがある。
一文一文に、オーラがある。
次回は、2月号とか。
待ち遠しい。


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連れ合い

2017/11/13

北村薫の新刊『太宰治の辞書』(創元推理文庫)を
今日手に入れて読んでいる。
実に贅沢な本だ。
大正3年に出された新潮文庫が口絵写真として掲載されている。
扉の文章を穂村弘が書いている。
解説を米澤穂信が書いている。
単行本にはないエッセイ2編と短編1編が新たに収録されている。
でも、ぼくにとって、一番贅沢なのは、
高野文子の装画である。
〈円紫さんと私〉シリーズは、すべて高野文子の装画である。
さて、本題。
最初の「花火」を読み終えた。
こんなフレーズがある。

「食べ終わると、連れ合いが先に出る。玄関まで行って、軽く《ごろにゃん》といった表情を見せる。」

「夫」とか「主人」という言葉は使われていない。
一貫して「連れ合い」である。
〈私〉は「連れ合い」しか使わない。
それにしても、〈円紫さんと私〉シリーズの前巻までは、
〈私〉は独身だったのだから、
驚くべき変化だ。
夫がいて息子がいる。
息子は中学生で部活は野球。

さて、次の「女生徒」を読もうか。

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「夜泣き」創刊号がしばらくまえに届いた。
「しんぺんこまし」の編集メンバーが再結集して、
五年間、季刊で出すことにしたのだ。
「しんぺんこまし」は、愛知淑徳大学の文学部の
卒業生が中心になって出していた雑誌で、
メンバーが固定化されていたわけではなかったが、
「夜泣き」は、精鋭がうち揃って出すという
雰囲気がみなぎっている。
創刊号の頁数は、何と86頁。
手作りだから、すごい。
何と栞ヒモもついている。
限定80部。
ぼくのものは、「29」の数字あり。
ディレッタントが集まって、
こんな愉快な雑誌を出したんだと思う。
一見お遊び風に見えるが、
5年間でどんなイメージを提示できるようになるか、
楽しみだ。
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