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『梨の花』

2019/09/22

小池光さんの第10歌集『梨の花』を堪能中。
こういう言い方はよくないとは思うが、
とにかく面白い。
泣き笑いより、笑い泣きという感じ。
たとえば、こんな歌。

・未発表の歌百首ばかりたまれるは財布に金の唸るがごとし

同感するしかない。
ということは、たまったという経験が全くないから。
つまり、ぼくの財布はからっけつ。
こんな歌もぼくには面白い。

・「未来」金井秋彦選歌欄にわづかの人が居たりしをおもふ

この歌には詞書があって、
「大島史洋歌集『ふくろう』読後」とある。
「未来」が複数選者制に移行したとき、
金井秋彦選歌欄もできた。
できのたのはいいが、
この選歌欄を選んだ会員は少なかった。
ぼくの記憶では、二桁のときはなかったと思う。
でもいたことはいた
それにしても、
金井秋彦選歌欄が歌の材料となるとは。
こういう歌を面白がる人はそうはいないだろう。
ぼくはなんだか懐かしい思いをもちながら読んだ。

ところで、この歌集はいったい何首掲載されているのだろうか。
もちろん「あとがき」には書いてない。
だいたいの勘でいうと、600首くらいかな。
でも、そんなにあるという気がしない。
えっ、もうこれで終わりという感じだった。
ぼくがあまりに面白く読んだせいかな。

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「柊と南天」第3号が届いた。
ぼくが編集している「灯船」と同じように
塔短歌会のメンバーで作っている結社内同人誌。
ただ、メンバーは、全員昭和48年、49年生まれの同学年
に限られている。
それでびっくり。
ということは、
ぼくがコスモスに入会したのは、
昭和48年の8月だから、
ぼくのコスモス在籍年数が、
この「柊と南天」のメンバーの年齢と同じということになる。
要するに偶然のことなのだが、
なんだか親近感をもってしまう。
しかし、46歳というのは、なかなか厳しい時期だった気がする。
ぼくの場合は、あまり短歌に時間を割くことができなかった時期だ。
このメンバーはどう克服していくのか。

それで、
内容には触れないが、
雑誌としては活きがいいなあと思った。
雑誌づくりを楽しんでいるなあとも思う。
それから、蟹澤さんのイラストがいい。
こういうイラストはぼくは好きだ。

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松村正直さんの『紫のひと』を読んでいる。
読み終えるのがもったいないから、ゆっくり読んでいる。
ゆっくり読んでいたら、こんな一首に出会った。
六十歳過ぎてから、秋になると、
いつも浮かびあがってくる思いを、
実にうまく詠みこんでいるなあと感心してしまった。

・年を取る速さのように身に沁みる日に日に昼が短くなるは

そう、これからどんどん日が短くなる。
夜がいきおいをつけてやってくる。
夜の顔にも精気がましてくる。
それを若いころは意識しなかった。
今は嫌になるほど意識する。
つまり「身に沁みる」。

こんな歌もある。なるほどなあと思う。
こういう歌は気持ちが和む。

・ミーアキャット、エリマキトカゲ、チンアナゴ 立ってるものを人は喜ぶ

人間のもつ仲間意識のせいなのだろうか。
なぜか「人は喜ぶ」。
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「まひる野」9月号が届く。
表紙裏の「最近の諸誌に探る」には、
高野公彦さんの作品が取り上げられている。
もちろん「コスモス」9月号に掲載された5首について。
この5首のうち、
5首目の、
「まだずつと生きてゐたいが真夜さめて寂し無音の真洞のひとり」について
篠弘さんは、
「真洞は居酒屋の名か」と書いているが、
「真洞」はマンションの部屋のことだと思う。
「真洞」という名前の居酒屋があるのなら、
一度行ってみたい気もするが、ちょっと怖い。
この歌は、
マンションの一人住まいの孤独を詠んだ歌だろう。
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「鱧と水仙」第53号が、この号も遅れることなく届いた。
この号の特集は「今、読みたい歌集」。
どんな歌集が出てくるのかと思い、
ページを繰ってゆくと、
何と『安立スハル全歌集』があるではないか。
安立さんは、コスモスの大先輩。
もちろん創刊同人。
「あんりゅう」と読む。
最初「あだち」と読んでしまい、訂正されたことを覚えている。
訂正された方は、担任した生徒の父親。
もちろんコスモスの会員だ。
話が横道に逸れた。

とりあげた方は、川崎綾子という方。
存じ上げない。
アマゾンで一年前に購入されたとある。
まだ読み切ってはいないようだが、
丁寧に読んでいることが分かる文章でうれしい。
安立さんの歌は、実に刺激的で、
カツを入れられる。
ぜひ読み通していただきたい。
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