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碧南市藤井達吉現代美術館で
「画家たちの二十歳の原点」と題する展覧会が開催されている。
地方の美術館の共同開催で、
碧南は、9月19日まで。
その後、足利美術館で開催。
小品が多かったが、
近代日本の絵画史のおさらいに適している。
画家の自画像を中心に、
それぞれの画家の魅力がよく
出ている絵が選ばれていて、
いろいろ刺激された。
ぼくにとって、特に嬉しかったのは、
村山槐多、長谷川燐二郎(「りん」は本当はさんずい)、
松本竣介の三人。
長谷川と松本の絵は、
先週訪ねた宮城県美術館の常設展にもあって、
じっくり見ることができた。
こういう内容の充実した展覧会が、
地方の美術館でしかできないのは、
いいことなのか、よくないことなのか、
考えてしまう。
折角内容のある展覧会を開催しても、
名古屋から電車で一時間以上もかかっては、
観客の数を期待することはできない。
でも、少ないから、
じっくり見ることができるというメリットはある。
一枚の絵に、
数十人が集まっているというのは、
もう何をしに来ているか分からなくなる。
まあ、とにかく、
絵の好きな方は、
ぜひ碧南に出掛けてください。
お寺の多い田舎町です。





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東北へ

2011/08/23

明日より、一年ぶりに東北へ行く。
仙台空港から入るので、
津波の爪痕と向き合うことになるだろう。
見ることしかできないので、
しっかり見てくるつもりだ。
ただ、天気があまりよくないのが気がかり。
秋雨前線の動きしだいだが、
今のところ、
よくない。
とにかく列島からしばらく離れてほしい。
まあ、よくなることを祈るしかない。
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心星ひとつ

2011/08/22

高田郁の「みをつくし料理帖」第6巻
『心星ひとつ』を読み終える。
後半の展開に、
まさかこの巻で終わりなんてことはないなと
思いながらも、ひょっとして終わりかもと
いろいろ考えてしまった。
もちろん、
この巻で終わりということはなかった。
キーワードは「心星」だった。
広辞苑には載っていない。
ブリタニカには載っていて、
北極星の和名のこと。
説明はこのように書いてある。

「地球の自転に伴って他のすべての星は
この星のまわりをめぐるようにみえたこ
とから、天の心棒とみてつけられた名。」

この「心星」という言葉は今まで知らなかった。
それから、なぜ広辞苑には掲載されていないのだろう。

ということで、
このシリーズはまだまだ続く。
先を読みたいが、何せ年に2冊の刊行だから、
また半年待たなくてはいけない。
ちょっと辛い。
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8月14日の夜、
妻の実家から帰ると、
「路上」120号が届いていた。
もうそろそろ出るころかなとは思っていたが、
こうして終刊号である120号を手にすると、
感無量。
本当に長い間お世話になった。
評論集をこれまで3冊出したが、
第一評論集は、すべて「路上」に掲載したものである。
また、この4月に出した第三評論集も、
ほとんど「路上」に掲載したものである。
120号には、
総目次と執筆者名簿が掲載されている。
ぼくは、何と41回執筆している。
つまり、三分の一の号に執筆していることになる。
なぜ「路上」に書かせていただくようになったのかという
経緯については、
119号に掲載した「二冊の歌集」という文章に書いた。
出会いとしか言いようがない。
「路上」が無くなってしまうというのは、
何とも寂しいことだと思っていたが、
幸い第Ⅱ期「路上」が規模を縮小して刊行されるとのこと。
どんな「路上」になるのか、
見当はつかないが、
楽しみである。
佐藤通雅という歌人の
「持続する志」を私は信じている。
現代短歌への叱咤を期待している。
佐藤通雅という長距離ランナーの
後をぼくも追い続けたい。





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「塔」8月号が届いた。
河野裕子さんの追悼号でもある。
ページ数がすごい。
何と467ページ。
そのうち、
追悼関係が287ページ。
結社誌の追悼号は、
土屋文明の追悼号をはじめ、
何冊かあるが、
こんなに厚い追悼号はなかった気がする。
いわゆる追悼号的な文章も多くあるが、
価値のある資料もある。
例えば、「初期作品一覧」があって、
「中学三年コース」の入選歌が載せられている。
また高校時代の文芸部の機関誌に掲載された
短歌やエッセイも載せられている。
また「河野裕子論一覧」もある。
ぼくもかつて河野さんの歌集に触れた論を
「桟橋」に書いたが、
さすがに網羅されていなかった。
まあ、総合誌を中心に集めてあるから、
同人誌まで目を配ることはできなかったとは思う。
今後、補遺として、
同人誌関係を網羅してもらえるといい。
それから、驚きなのが、
定価が2000円ということ。
どんなに安く見積もっても
3000円は下らない。
5000円でも不思議ではない。

この号の編集後記は、
2ページにわたっていたが、
その中で、
吉川宏志さんがかなり長い文章を書いている。
もちろん、河野さんの追悼に関わる文章だ。
河野さんのとんでもないやさしさが分かる
エピソードが書かれている。
まさに河野さんだなあというエピソード。

明日は、一周忌。
こんなに自分のことで
短歌の世界が賑やかになっていることに
びっくりしているかもしれない。
でも、きっと喜んでいるだろうなあ。

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8月8日

2011/08/09

知立の「らんぷ」に出掛けたついでに、
近くの正文館書店に寄る。
外国文学の棚を見ていたら、
何と『もうすぐ絶滅するという紙の書物について』
(阪急コミュニケーションズ 2800円+税)があるではないか。
財布と相談しようかと思ったが、
こういう巡り合わせは大切にしないといけないという
鈴木家の家訓(?)に従い、
購入。

5時40分頃、
名古屋駅の金の時計のあたりに行く。
ゼミの飲み会の待ち合わせ場所。
行っても誰もいないということはないよなと思いながら、
近づいてゆくと、
エスカレータ付近に4名いる。
ぼくが5人目。
そして、まもなく2人来て、全員集合。
会場までのんびり行く。
レジャックの地下の甘太郎という店。
どうも女子会向きの飲み屋。
飲み放題のお酒やソフトドリンクが
ほとんど女性向きのものばかり。
日本酒にいたっては、
何と「松竹梅」のみ。
追加をすると「八海山」が出るそうだが、あやしい。
あやしいというなら、
女子学生6名と小生という
この集団はかなりあやしいみたいで、
トイレに向かう男性たちが、
怪訝な表情を見せながら通ってゆく。
ゼミの飲み会ですと、
公言するわけにも行かず、
ぼくは一人でビールを飲んでいる。
学生達は、ソフトドリンクが多数派。
お酒系を飲むのは二人。
話題は、ソフトはホラー小説はないかというところから。
最終局面では、
やはり就活の話題も。
何せ今さっき就活してきたという
男女の学生たちが、
どっと入って来たから。
9時前には解散。
何せはじめての経験だから、
ひたすら緊張していた。
ということで、
ほとんど酔わなかった。


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「図書」8月号の
野家啓一の「大震災のなかの読書」という文章の
最後の段落で、
ウンベルト・エーコとジャン=クロード・カリエールの対話
『もうすぐ絶滅するという紙の書物について』
の中の一節を引用しているが、
これが実にいい。
ということで、ここにまた引用させていただく。

「電気がなくなれば、すべてが失われ、
手の施しようがありません。それに対して、
たとえ視聴覚的遺産のすべてが失われた
としても、本だけは、昼間なら太陽光で、
夜だって蝋燭を灯せば、読むことができます」

やはり本は紙に限る。
確かに重量の問題では、
ぼくもかなり苦労しているが、
でも画面で読む気はしない。
紙の頁を繰ることが
本を読むことなのだ。


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「図書」8月号の巻頭のコラム欄「詠む人・書く人・作る人」で
永田和宏さんが書いている。
「作歌を支えたもの」という題。
もちろん河野裕子さんの話題である。
最後の段落を全文引用する。

「死ぬ日まで歌を作り続ける者だけを歌人と呼びたいというのが、
年来の私の自説であったが、まさに河野裕子は死ぬ日まで歌を作り
続けた。歌は、生の言葉で伝えるよりはるかに陰翳の深い思いを残
しうるのだという思いが、そうさせたのだったろう。そして、家族
の誰もが自分の思いを歌に読みとってくれるはずだという絶対的な
信頼が、最後の日まで、彼女の作歌を支えていたのだと私は思う。」

多分、これは永田家だけの特殊な事例だと思う。
でも、長い短歌の歴史で希有な家族として、
記憶されることは間違いない。
それにしても「死ぬ日まで歌を作り続ける」
というのは、
途轍もないことだと思う。
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「波」8月号を入手。
「500号記念号」とあり、
記念特集として「文士たちの筆蹟」と題する
14頁にわたる写真頁がある。
しかし、この記事に関心があるわけではない。
関心があるのは、
永田和宏さんの連載である。
第三回になるが、
今回は河野さんのことより、
永田さんにとって非常に大切な先生であった
市川康夫先生との出会いから別れまでが書かれている。
最後の市川先生との別れの場面は、
以前他の文章でも読んでいるはずだが、
またしても落涙を禁じ得なかった。
特に今回は以前よりもかなり丁寧にその場面が描写されていて、
余計に悲しみが増してしまう。


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