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「図書」8月号の巻頭のコラム欄「詠む人・書く人・作る人」で
永田和宏さんが書いている。
「作歌を支えたもの」という題。
もちろん河野裕子さんの話題である。
最後の段落を全文引用する。

「死ぬ日まで歌を作り続ける者だけを歌人と呼びたいというのが、
年来の私の自説であったが、まさに河野裕子は死ぬ日まで歌を作り
続けた。歌は、生の言葉で伝えるよりはるかに陰翳の深い思いを残
しうるのだという思いが、そうさせたのだったろう。そして、家族
の誰もが自分の思いを歌に読みとってくれるはずだという絶対的な
信頼が、最後の日まで、彼女の作歌を支えていたのだと私は思う。」

多分、これは永田家だけの特殊な事例だと思う。
でも、長い短歌の歴史で希有な家族として、
記憶されることは間違いない。
それにしても「死ぬ日まで歌を作り続ける」
というのは、
途轍もないことだと思う。
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「波」8月号を入手。
「500号記念号」とあり、
記念特集として「文士たちの筆蹟」と題する
14頁にわたる写真頁がある。
しかし、この記事に関心があるわけではない。
関心があるのは、
永田和宏さんの連載である。
第三回になるが、
今回は河野さんのことより、
永田さんにとって非常に大切な先生であった
市川康夫先生との出会いから別れまでが書かれている。
最後の市川先生との別れの場面は、
以前他の文章でも読んでいるはずだが、
またしても落涙を禁じ得なかった。
特に今回は以前よりもかなり丁寧にその場面が描写されていて、
余計に悲しみが増してしまう。


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