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哀悼

2012/11/29

宇田川さんの書いている「六花書林日乗」で、
岡部桂一郎さんが亡くなられたことを知る。
28日に亡くなられた。
大正4年生まれだから、
97歳なのかな。
歌壇の最長老が遂に亡くなられた。
謹んで哀悼の意を表したい。
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東京では、今日は「棧橋」112号の批評会。
残念ながら参加できなかった。
今年こそ皆勤の夢も脆くも崩れる。
というのも、淑徳は今日も授業日。
ということで、短歌創作の授業。
前回は、秋を詠むという課題だったが、
結果は不調。
優秀作はこの歌。

・コンビニのラインナップが変わる秋レジの前には肉まんずらり

全くの初心者です。
リズム感がいいから、これからが楽しみ。

それで今日は、作戦変更で、
大学生が一番話題の豊富な課題に取り組んでもらう。
それは、アルバイトを詠むという課題。
今日は飛び入りもいて、5人なので、
全員にアルバイトの歌を詠んでもらう。
これが大成功。
講評は、来週行うが、うける歌がたくさんある。
それにしても、日本の飲食業、流通業は、
大学生でもっていますな。

授業が終わると、昼食抜きで家に帰り、
それから、名古屋市短歌会館に駆けつける。
5時近くまで会議。

ところで、
退職までの3年間面倒を見た学生が、
先日、何と京大短歌会に出席したとの連絡あり。
どうやら、道場破り的な参加をしたようだ。
まあ、薦めたのは、ぼくだが。
これから、何度出席して打たれ強くなってほしいものだ。
それからが本番。


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13時より中日歌人会の会議。
いろいろと問題点が浮かびあがる。
ただ参加者は、
みなさん前向きなので、助かる。

その後、芸文の
コスモスの歌会に合流。
隣は「まひる野」の歌会。
「まひる野」は、若い人が多い。
率直に羨ましい。
ある会員から、
来月以降仕事の関係で、
この歌会に出席できなくなったという報告があり、
一同呆然とする。
まあ、仕方ない。
参加できるものでやるしかない。
もっと厳しい時期もあったのだから。
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午後歌会。
かなり激しい雨が降り続く中で、
提出された歌について、
話をして行く。
歌を読むというのは、
難しいなとつくづくと思う。
何せほとんどの方が
ぼくより年齢が上であるから、
経験という点ではかなわないのに、
分かっているような顔をしてしゃべるのだから。
いつ破綻してもおかしくない。
言ってみれば、綱渡りをしているようなものだ。

夕刻より同年会。
衝撃的な出合い。
こういうこともあるのかと
ただただびっくり。
その後、SNSで確認。
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今日も講演

2012/11/11

13時より愛知県青年会館で行われる
「塔」東海支部大会に駆けつける。
講演を依頼されている。
テーマは「同人誌の現在」。
早崎ふき子さんからの指定の題。
はっきり言って超得意分野。
ということで、
これまで集めた同人誌を持ち込む。
そして話をしながら、その同人誌を見てもらう
という趣向にした。
同人誌との出合いから始める。
初めて出会った同人誌は、
何とあの荒川洋治さんが出した同人誌。
荒川さんは高三の時。
「とらんぺっと」と「青貝」。
この2冊を送っていたただいた。
もう45年ほど前の話。
この2冊の雑誌はまだ手もとにあるはずなのだが、
今のところ行方不明。
とにかく自家薬籠中のネタなので、
話は尽きない。時間は限られている。
ということではしょりながら、
何とか45分程度で切り上げる。
依頼時には40分ということだったが。
最後のところで、
「塔」短歌会の集まりなので、
吉川宏志さんがかつて出した個人誌「斜光」3号の紹介をする。
これは超レア。
20数名の参加者の誰一人として見たことのない雑誌。
なお、この雑誌の目次は、
すでにこのブログに書いてある。

講演の後、そのまま歌会に参加する。
自由奔放な歌会というのが、ぼくの第一印象。
何せ普段の定例の歌会では、
まとめの発言を求めないというのだから。
今日は、私と早崎さんと栗山さんが
交替でまとめを担当した。

歌会の後、
会場を変えて懇親会。
クラウンホテルで。
名古屋のホテルで唯一天然温泉のあるホテル。
時間があるので、
温泉に入ってもいいですよと言われたが、
さすがに遠慮した。
何人は入ったようだ。
懇親会は8時前でお開き。
帰りは栗山さんと一緒にタクシーで。
なかなか楽しい会だったなというのが、本音。
フランクな自由な集団で実にいい。
結社につきものの、「権威」というやっかいなものが
どこにもない。
まあ、稀有な短歌の集団。

講演ではいろいろ話したが、
ここで書くときりがないので、概要に止める。
オフレコに近い内容もあったなあ。




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・創刊の辞(一発目PUNCH)…………内山晶太
・特集 緊急アンケート『短歌はナウイか』
・座談会……………………内山晶太、松澤俊二、三原由起子

作品
・スクランブル…………内山晶太
・トリップ寸前…………三原由起子
・蛇、獅子座流星群…………松澤俊二

メンバー紹介 街の声

2000年4月15日発行

おまけ
何故か、内山さんから千葉聡さんへの私信が入っていた。
経緯はまったく分からない。
ずっと昔、千葉さんから私信をいただいたことはある。
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●30首詠
霧と記憶…………吉川宏志
プリズム…………吉川宏志
●10首詠
コルク板…………梅内美華子
うたう術…………江草恵子
ふうせんむしゆく…………前田康子
河 童…………森尻高弘
●評論
再び・山田富士郎論…………前田康子
茂吉とラオコオン…………吉川宏志
●書評 田中章義歌集『ペンキ塗りたて』
乾ききらないうちに…………宇都宮勝洋
●連載 学生の主張②
感動的口語短歌のすすめ…………小川由紀
●時評
リフレインについて…………吉川宏志
  表紙・レイアウト  吉川宏志 

個人誌 斜光
平成4年10月1発行
編集・発行 吉川宏志
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狩野一男の歌の特色は、一読すれば瞬時に分かるところである。
難解な歌は一切ない。
ある意味、読者に親切な歌である。
独りよがりの歌ではない。

・わが妻をオバチヤンと呼びわれのことオジイサンと言ふよ近所のキツズ

何せ「キッズ」ですから。
そんな柄ではないと思うけど。

・咲きましたさくらの花が咲きました生きよ生きたき者よ生きよと
・やあ、二年ぶりだね桜 やつとまた会へたねさくら ありがたいなあ

読む者もつくづく「ありがたいなあ」と思ってしまう。

・病院にひとりで行つてきたること妻にほめられ、友にわらはる
・電車にもバスにも一人で乗れました妻離れできわくわくとをり

友は歌の友なのかな。
こんな歌もある。

・先生の御手ひきながら二キロほどの朝の散歩をなしき嬉しく

この先生は宮先生。
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独楽吟

2012/11/09

今日は淑徳の長久手キャンパスの日。
長久手への通勤の楽しみは、
NHK第一放送の「すっぴん」を聞くこと。
パーソナリティは高橋源一郎さん。
特に楽しみなのが、
9時半から始まる「源ちゃんのゲンダイ国語」。
毎回は、えっという話題が出てくる。
しかし、今日はまさにのけぞった。
何と橘曙覧(たちばなのあけみ)の「独楽吟(どくらくぎん)」。
何と和歌ですわ。
しかも、ぼくは、
先週の土曜日の四日市での講演で、
この「独楽吟」の話をしていたのである。
高橋さんの話でぼくが知らなかったのは
平成6年に、
天皇皇后ご夫妻が、アメリカを訪問されたとき、
歓迎式典で当時のクリントン大統領のスピーチで、
橘曙覧の「独楽吟」の歌が紹介されたということ。
つまり、当時の随行の日本人たちは、
ほとんど橘曙覧のことは知らなかったようだ。
何しろ、文献がほとんどないから無理なのだ。
正岡子規の「歌よみに与ふる書」を読んでいた人なら
あの橘曙覧のことなんだと驚いたに違いない。
当時の日本人がほとんど知らない江戸時代末期の
歌人の歌をアメリカの大統領が紹介するのだら、
まさに青天の霹靂というしかない。
それで紹介された歌がこの歌。

・たのしみは 庭に植ゑたる 春秋の 花のさかりに あへる時時

この他に高橋さんが取り上げた歌はこちら。

・たのしみは 妻子むつまじく うちつどひ 頭ならべて 物をくふ時

・たのしみは 珍しき書 人にかり 始め一ひら ひろげたる時

・たのしみは 頃にうかぶ はかなごと 思ひつづけて 煙草すふとき

・たのしみは まれに魚煮て 児等皆が うましうましと いひて食ふ時

・たのしみは 銭なくなりて わびをるに 人の来たりて 銭くれし時

・たのしみは 人も訪ひこず 事もなく 心をいれて 書を見る時

ということで、
この「独楽吟」は、
「たのしみは」で始まり、「……時」で終わるパターンの歌に
なっていることが分かる。

で、この放送を聞きつつ、ひらめいた。
今日の授業は短歌の創作。
一応今日のプログラムは用意している。
しかし、こういうチャンスはめったにない。
ということで、急遽今日の授業は、
「独楽吟」を読んで、このパターンの歌を詠むことに切り替える。
しかし、テキストはどうなる。
何も心配はいらない、大学の図書館には、
岩波文庫は揃っているはず。
ということで、大学に着くやいなや、
図書館に急行し、本を探す。
『橘曙覧全歌集』はちゃんとありました。
ということで、資料を作り、「たのしみは」の歌を
詠む授業を行う。
その成果を少し披露したい。

・たのしみは アルバイトからの帰り道 空を見上げて 星を見る時

・たのしみは ねむりに落ちる その前に 布団のぬくもり かみしめる時

・たのしみは 授業もバイトも ない朝に 時計無視して 二度寝する時

・たのしみは 買ったばかりの マニキュアを 深夜布団の 上で塗る時

割りに学生たちも楽しくできたようだ。

ところで、狩野一男さんの歌集の紹介、
好評なのに次が遅れています。
近日中にアップします。
お待ちください。









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狩野一男の四番目の歌集『悲しい滝』(本阿弥書店)が出された。
コスモス叢書の叢書番号が1010番に合わせたのかどうか、
10月10日発行。
カバー装画か中林忠良というのは、豪華。
狩野は、2007年2月18日、
クモ膜下出血で倒れる。
この歌集は、その病気からの奇跡的生還の過程を詠む一方、
狩野の故郷、宮城の栗原と、
狩野の妻の故郷釜石が、
岩手・宮城内陸地震、東日本大震災に襲われた後の、
苦しい日々を日々を詠んでいる。
狩野の歌は、どんなに苦しい状況に追い込まれても
ユーモアを失わない、不思議な明るさに満ちている。
というより、こういう歌が狩野の歌そのものなのだとは思う。

・脳神経外科集中治療室にて四か月弱ねむりゐしわれのいのちは
・約2800時間 闇黒の原始のねむりわれは睡りき
・こはれたる元(もと)ヒトわれが復(また)ひとに戻らむために要したねむり
・一年の時間の重さおもひつつクモ膜下出血の病後を生くる

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