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草生

2012/12/30

「りとむ」2013年1月号の
「てんきりん」というコラム頁に、
今野寿美さんが、北原白秋の
「煩悩の赤き花よりやはらかに煙る草生へ鳩飛びうつる」を
取り上げている。
「草生」のルビは「くさぶ」である。
今野さんは次のように書いている。

宮柊二記念短歌大会で、ご長女の草生さんにお会いした。
かつてそのお名前を知ったとき、歌語らしきこの語が広辞
苑になく、その後大辞林に「くさふ」として載っているこ
とを知った。そんな記憶をお話ししたら、草生さんは少女
期、「くさぶちゃん」と呼ばれながら「くさぶなの?くさ
ふなの?」と母上に聞いたそうだ。「歌の中ではくさふよ」
という応えだった由。(以下略)

宮英子さんの発言を裏付けるように、日本国語大辞典では
「くさふ」で、この白秋の歌を引いているとのこと。
しかし、『白秋全集』には「くさぶ」というルビが振ってあり、
さらに初出の「朱欒」ではルビは「くさふ」であるとのこと。
ということは、もうどっちでもいいということになる。
実際、草生さんは新潟で行われたコスモスの全国大会の講演でも、
どちらでもいいという主旨の発言をされていた。
宮先生は名前をつける時には、どちらを思い描いていたのだろうか。
娘さんが自分の名前でずっと後まで悩むなんてことは、
思いも及ばなかったでしょうね。

この他に「歌集でつなぐ110年」という欄では、
1949年の歌集として宮先生の『山西省』が取り上げられている。
因みに1948年は近藤芳美の『埃吹く街』。
なお執筆者は栗原浪絵さんという方。
「りとむ」の装幀は創刊以来高麗隆彦氏が担当している。
13年の装幀も素晴らしい。
書影はFBにアップするのでそちらでご覧になってください。




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年末歌会

2012/12/28

愛知淑徳大学の授業は今日まで。
担当は2限の短歌実作の授業。
今日は歌会を行う。
しかし、受講生は4人しかいない。
ぼくを入れても5人。
これではいくら何でも寂しい。
それでまず短歌ゼミの4年生2名に参加してもらう。
さらにわがコスモスの会員が1年生にいるので来てもらう。
さらに受講生の友人にも参加してもらう。
ということで、総勢9名。
ところが、短歌ゼミの学生が一人連れてきてくれたので、
総勢10名になる。
これなら充分。
歌会は題詠。
「鳥」という題で2首出してもらった。
ぼくもダミーの2首を入れたので、
詠草数は、18首。
まず一人3首選んでもらった。
高点歌は、4票入った次の2首。

・本文を忘れた封筒持ったまま電波の空に飛び立ったハト

・クリスマス世界がむしる鶏の羽毛敷き詰め年を越したい

1首目は、「コスモス」所属の1年生。
2首目は、何と受講生。ということは、短歌というものを
詠みはじめてまだ三ヶ月弱。
それぞれ魅力のある内容を詠んでいる。
ただ1首目は、ぼくらの世代はあまりピンとこないかな。
短歌ゼミの学生はさすがにかっちりした歌を詠む。

・冬の日の駅に降り立つ鳩一羽首に小さな虹を宿して

・朱に染まるフラミンゴらのはばたきのうちに潜めた幾許の白

わが受講生の残りの三人の歌。

・「ひよこってかわいいよね」と笑う友 チキンフィレオをおおきく囓る

・渡り鳥空に連なり北目指す黒く映るは大三角形

・ニワトリのタマゴかえって歓喜するそれ見て思うはぶっかけごはん

前の二首は3票入った。
受講生諸君の健闘が光った年末歌会であった。
なお、ダミーで出したぼくの歌は2首ともゼロ票。
ということで、選ばなかった参加者を誉めておいた。
要するに、ダミーはダミーだ。
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・沼波瓊音『意匠ひろひ』(国書刊行会)
「知の自由人叢書」第4回配本。
「日本の古本屋」で手に入れる。
定価8000円+税が、3000円程度で手に入れる。
巻末の山口昌男と坪内祐三の対談だけ読む。
森銑三さんへの言及が乏しいのが残念。

・佐伯一麦『旅随筆集 麦の冒険』(荒蝦夷 1500円+税)
ジュンク堂の名古屋駅前店で注文して購入。
注文する際に、「さえきいちむぎさんの本ですね。」とぬかすから、
仕方なく、「さえきかずみです。」と訂正した。
書店員が、佐伯さんの名前もちゃんと読めないのだから、
本当に情けない。
ぼくが店長なら即刻首にしたい。

・堀江敏幸『余りの風』(みすず書房 2600円+税)
らくだ書店になぜか入っていたので購入。
堀江の恩師である平岡篤頼について書かれた
巻頭の「解けない霙」を読み、
やはり堀江の文はいいなあと感激。
巻末に人名索引があるのも嬉しい。
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討ち入り

2012/12/14

慌ただしい一日。
淑徳の2限があるのだが、
授業の前に連絡しておいたK君が来てくれたので、
12月28日の歌会の件を伝える。
そうしたら、早速4首書いて、
自分の授業に行ってしまった。
授業後、図書館でNさんと落ち合う。
渡すべきものを渡したあと、
やはり歌会の件を伝える。

帰りにらくだ書店に寄った後、
郵便局へ行く。
三月書房の荷物を受け取り、
支払いも済ませる。
それから、クロネコへ行き、
信州でペンションをやっているK君に吉本の本を送る。
さらに、印刷会社へ行き、
2件相談に乗ってもらう。

こんなふうにあちこち回ってる時に聴いているのは、
いつもNHK第一放送。
ニュースの時間、アナウンサーが、
今日の討ち入りに因んだニュースを読もうとして、
「よんじゅうしちし……」などと言い始めるので、
おやっと思ったら、
すぐ隣にいる人、職名はなんだろう、
とにかく隣にいる人が「しじゅうしちし」と
注意しているのがそのまま聞こえる。
いやあ、それにしても、
NHKのレベルも着実に落ちているなあと
痛感した次第。
「よんじゅうしちし」はないよな。

全然別の話題かもしれないが、
木曜日の8時のNHKのドラマ
「薄桜記」はいいね。
もちろんこのドラマは忠臣蔵絡みなのだが。
すっきりした作りになっている。
「平家」とは大違い。
「平家」は遂に我が家では誰も見なくなった。
ぼくが一番最初に抜けたのだが。


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今日はこういう数字が並ぶ日なのだ。
キャッシュカードが使えなくなったので、
銀行へ行き、再発行手続きをしたが、
その時は、241212だったが、
ふと、2012年だから、
12が三つ並ぶのだと気付いた。
このパターンは、当分ないのだなとも気付く。

一昨日が淑徳の卒論提出締切日で、
昨日は受取日。
幸い何とか全員提出できたのでよかった。
それでも、強者はいるもので、
16時締切だったが、
15時40分頃に提出した者がいた。
大物ですね。
しかし、受け取った以上評価しなくてはいけない。
さらに優秀作の抽出もしなくてはならない。
学生達はもうるんるんだろうが、
これからは、こちらが苦しむ番だ。
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今日も講演

2012/12/05

今日は、10時から刈谷市の中央図書館で
1時間半ほどの講演をする。
題は「森銑三先生の先生達」。
森さんが先生として敬愛されていた三人の方について話す。
ただ、その話に入る前に、
例の橘曙覧の「独楽吟」の話もする。
森さんは『偉人暦』で橘曙覧の「独楽吟」についても
書いている。
さてその三人の先生というのは、
実に錚々たる人たちばかりだ。
『日本近代文学大事典』の記述を要約したものを以下に記す。

◎狩野亨吉(かのうこうきち)慶応元七・二八~昭和一七・一二・二二
 秋田大館町生まれ。哲学者、思想家。明治三一年三四歳の若さで
一高の校長となり注目を浴びる。教え子に安部能成、阿部次郎、岩波茂雄がいる。
三九年に京都大学文科大学学長となるも、文部省と衝突して辞職。
以後官に就かず。書画鑑定によって生計を立てながら、町の片隅で生涯を終わった。
◎沼波瓊音(ぬなみけいおん)明治一〇年・一〇・一~昭和二年・七・一九
 名古屋市玉屋町生まれ。国文学者、俳人。明治三四年東京帝大国文科卒。
大正一一年一高教授。
◎井上通泰(いのうえみちやす)慶応二年一二・二一~昭和一六・八・一五
 歌人、国文学者、医歌人、国文学者、医師。国文学者松岡操の三男。
柳田国男は弟。東京帝大医科大学卒業後、岡山医専教授などを経て、
明治三五年上京、開業医のかたわら、作歌や『万葉集』などの
研究活動をつづけた。桂園派の歌人。森鴎外、賀古鶴所、佐佐木信綱らと
常磐会を興した。四〇年以降約一三年間お歌所寄人を勤めた。

この方たちと森先生は、学問については言うに及ばず、
日常の生活についても相談にのってもらっていたのだ
から、何とも羨ましいことだとつくづく思う。
もちろん森さんの学問に対する真摯な態度が、
この先生達にも好ましく思えたことは間違いない。
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寒い

2012/12/02

とにかく寒い。
最高気温が6度を下回っている。
まだ12月の2日だというのに。
暑いのは全く苦にならないが、寒いのは駄目だ。
気力が消え失せてゆく。
それでも、ずっと原稿を書き続ける。
10度しかない部屋で、
2000円くらいで買える電気ストーブをつけ、
何とか15度くらいまでに上げて、
原稿を書き続ける。
これがぼくの冬のスタイルだが、
例年は、1月の上旬からのスタイル。
あまりに早く真冬が来てしまったのだ。
暖冬なんて予報もあったのに、
残念無念。
三ヶ月ほど、冬眠したいのが本音。

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最長老

2012/12/01

先日亡くなられた岡部桂一郎さんは、
確かに歌壇の最長老であるが、
もう一人大正4年の生まれの方がいる。
「青南」の清水房雄さんである。
清水さんはお元気で「青南」でも、
97歳とは思えないほどの健筆ぶりである。
このままお元気でいらっしゃればと思う。

ところで、岡部さんが亡くなられたことについて、
松村さんや吉川さんといった「塔」の方たちが、
それぞれ死を悼む記事をブログに書いている。
松村さんが書いているように
確かに「塔」と岡部さんは結びつきが深い。
ぼくも「コスモス」や「短歌往来」で
岡部さんについて触れたことがあるが、
その度に、奥様から礼状をいただいたおぼえがある。
ありがたいことだと感激していたなあ。
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