東京新聞の文化部の加古陽治さんが、月に1回程度「中日新聞」の
夕刊の文化欄に「一首のものがたり」という短歌に関わるエッセイ
を書いているが、11月27日の「中日新聞」の夕刊 を見てびっ
くりした。
 最初は、今月は誰を取り上げたのかなと思って、読も
うとしたのだが、何とわがコスモスの桑原正紀さんと奥様の房子
さんをとりあげられているではないか。
題して「倒れた妻へのラブレター」。
とりあげた一首は次の歌。

・夕焼けに照らされてゐる妻の顔まぎれなくいま生きてかがやく

 慌ててひたすら真剣に読み通した。実にありがたい内容だった。
奥様が東京の私立北豊島中学・高校の校長職であったときに、
脳動脈流破裂で倒れてしまう。
 その後の桑原さんの献身的な介護について述べ、また奥様が
倒れるまで現場の教師としていかに生きてきたのかを掘り下げて
書き、非常に感動的な内容になっている。桑原さん本人、奥様以
外に、教え子の方まで取材して丁寧に書いているのは実に嬉しい。
とことん生徒に教師として向き合ってきた房子さん、ひたすら奥
様の看護、介護に努めた桑原さん、それぞれを本当に心を込めて
書いている。
加古さん、いい仕事をしたなあとつくづく思う。
コスモスの仲間達にぜひ読んでもらいたい。
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第36回現代短歌大賞は、
宮英子さんが受賞した。
受賞理由は、
「『青銀色(あをみづがね)』並びに過去の全業績に対して」
とある。
授賞式は、12月12日。
学士会館にて。
残念ながら出席できない。
何と木曜日なのだ。
地方で仕事のある人間は、
木曜日はほとんど無理である。
現代歌人協会はずっと、
この12月の第二木曜日に設定しているが、
何とかならないものかと思う。
地方の人間も出席したいということを
もっと真摯に検討してもらいたい。
では、『青銀色(あをみづがね)』の歌を
少し紹介したい。

・中近東わが半生にいくたびも訪ねて未知なるときめき得たり

・古物商の青銀色のガラス瓶なみだ壺とぞシリアを旅して

・生き生きてすこやかに歳いただけど更なる未来どうでもよろし

・高齢の我儘なれど許されよ。見たい行きたい。見ようよ、行かうよ

・庭に来てすぐ飛び去れる小鳥たち流れもの君たちもう来ないかも

・許されて九十余年をあるがまま生きながらへて現在晩年

いい歌ばかりで、
しかもきりがないので、この辺りでよしにしておきます。
お読みになりたい方は、どうかお買い求めください。
短歌研究社刊です。

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亀の子会

2013/11/24

先週の日曜日、日帰りで東京へ出かける。
亀の子会の第32回総会に出席するため。
会場は、アルカディア市ヶ谷。
亀の子会というのは、
要するに、刈谷中学、刈谷高校の同窓会のことで、
関東と関西にある。
ぼくは、何と恩師の枠で出席を要請されたので、出かけた。
会長は、ぼくと同じ刈谷高校21回生の武藤芳照君。
今年の三月までは、東京大学の副学長という要職にあった。
高校の2年の時に同じクラスになり、
詩の雑誌を一緒に出したこともあった。
残念ながら、見事に一号雑誌で終わったが。
当日の会では、
ぼくは挨拶をしたのみ。
残念ながら、
ぼくが赴任していたころの同窓生は、
ほとんど出席していなかった。
ただ21回生が意外に多くいたので、
何とか話をする相手がいて助かった。
この手の会は、年寄りばかりになりがちだが、
武藤君がさまざまなてこ入れをしたので、
若い出席者が多い。
20代の若者がたくさんいる。
会は、4時半に終わり、
待ち合わせていた大学時代の友人と
近くのさくら水産で、
旧交を温める。
久しぶりに会うので話がはずんだ。
8時前に別れ、帰途についた。
なかなかハードな一日だった。
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午後、中日歌人会の会議が名古屋であった。
5時前に帰宅したが、
郵便が全くなかった。
夕刊も来ていない。
変だなと思った。
さきほど理由が分かった。
そうか、今日は祝日なのだ。
でも、何だか変な気がする。
土曜日と重なったのがいけなかったのだ。
全く祝日という意識がなかった。
昔は、と言っても、
もう半世紀以上前だが、
祝日には、
日の丸をどこの家でも出していた。
今日は、全く見かけなかった。
祝日を昔は、
旗日と言っていたが、
この言葉を使う人もめっきり減ってしまった。
そう、こうして時代はどんどん
古いものにこだわる者を置き去りにしてゆくのだ。


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訃報

2013/11/13

コスモスの友人のMさんの御主人が亡くなられたという
訃報を、Mさんご自身からメールで知らせていただいた。
何ということだと、ただただ嘆くしかない。
Mさんは、昨年はお父さんを亡くしたばかりだった。
「棧橋」116号にぼくは
「K君の死」と題して、
かつての同僚の若すぎる死を悼む一連を詠んだが、
ぼくよりずっと若い方の死は、本当にこたえる。
とにかく言葉が出てこない。
そんなことがあっていいのかと思うが、
何ともならない。
Mさんのメールの文章は、
落ち着いて、現実に立ち向かおうとしている気魄に満ちていた。
それだけが、ぼくを慰めてくれる。
ただ、ぼくはこうして書いてはいるが、
Mさんにかける言葉が浮かばない。
とにかく、どうしてこんなことがと思い続けている。


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突然の寒さ。
たまらない。
今日のこちらの最高気温は、10度くらい。
ついこの前の最低気温と同じ。
要するに、秋から一気に真冬に突入してしまったのだ。
とにかく急なのはよくない。
夏の暑さには強いが、
寒さにはからっきし弱いぼくにとっては、
この突然の冬の到来はこたえる。
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田谷鋭さんについて、雑駁なことを書いてしまった。
享年については、大松くんのコメントにもあるように
95歳が正しい。
歌集について、安立さんと同じというような書き方を
したが、安立さんは、『この梅生ずべし』一冊だけだが、
田谷さんは、5冊の歌集を出している。
ただぼくが書いたように、平成になってからはない。
田谷さんの5冊の歌集名を記しておく。
『乳鏡』
『水晶の座』
『母恋』
『定本波濤遠望集』
『ミモザの季』
なお、『ミモザの季』は
昭和63年5月に刊行。
それから、「歌壇」で特集が組まれたのが、
昭和63年の1月号。
さらに「現代短歌雁」で特集が組まれたのが、
同じ年の10月。
やはり、田谷さんの歌壇的活動は、
こうして見る限り昭和で終わっている。
なぜなのだろう。
このあたりのことは、もう少し考えたい。
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小島なおさんが、
「現代短歌」11月号の「こもごも日記③」で、
描写に関わる話題を書いている。
8月のコスモス全国大会でのエピソードを
紹介しているのだが、
「描写」に関わる発言をしているのは高野さん。
以下に引用する。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
グループの最後の歌は震災詠であった。その歌はセシウム汚染の
悲しさを詠んだものだったと思うが、そこで高野さんはこうおっ
しゃった。「同情するなら描写しろ」。もちろんこれはかつての
人気ドラマ「家なき子」の決め台詞「同情するなら金をくれ」を
もじったものだ。同情の気持を詠むのではなく、対象をよく観察
して描写しなさいということであろう。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

うーん、「同情するなら描写しろ」か。
高野さんでなくては言えないことだ。
高野さんは、震災の年に、
コスモスの仲間を訪ねて仙台まで出かけ、
今できることは、被災地でお金を使う
ことだとおっしゃっていたという話も
聞いたことがある。
ぼくは、この夏被災地を巡り、お金を使ってきたが、
まだ描写のほうはできていない。
この課題はしばらく背負い込むしかない。

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大松くんがメールで知らせてくれた。
田谷鋭さんが
一昨日亡くなられたとのこと。
宮英子さんと同じ大正6年生まれだから、
享年96歳ということになろうか。
コスモスの大切な歌人がまた一人亡くなった。

田谷さんは、
ある時期から歌集を出すことをしなくなった。
平成になってからは一冊も出さなかった。
なぜなのかぼくには分からない。
そう言えば、安立スハルさんもそうだった。
コスモスの歌人は、
歌集を出すことに禁欲的なかもしれないなと思う。
結社の雑誌に歌を出すことが第一義で、
歌壇での評価にはあまり拘泥しないのだろう。
これは、コスモスという結社の
一つの特徴かもしれない。
もちろん、高野さんや小島ゆかりさんは違うが。
お二人は、歌壇の要請を日々受けざるをえない
立場だから、当然の結果であろう。

謹んで田谷さんのご冥福をお祈りする。
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福士りかさんのブログに以下のような記述があって、
ぼくも日々痛感していることなので、そのまま載せてしまいました。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
いま中学の授業で課題とした秋の短歌に目を通している。
「秋になり寒くなったよもう冬だ雪が降ったらもっと寒いよ」
などという歌が並んでいる。

短歌はどうしても「何がどうしてどうなった」式のかたちをとりやすい。
添削ではなく、推敲のための手がかりを与えるかとても難しい。
それはもちろん自分自身の問題でもあって、
あれこれと模索しつつ生徒の歌に向きあっている。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

特に「推敲のための手がかりを与えるかとても難しい」
ところですね。
ぼくの場合、
まずは描写と言っています。
「思い」は後で。
つまり、描写もできなくて、
「思い」は詠めないでしょうという考え方。
でも、これが本当は正しいわけではないというのが、
とてもつらいことです。
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