種明かし

2016/05/31

5月5日に「書きたいけど書けない」と書いた本のことですが、
北村薫さんの『うた合わせ』(新潮社)です。
とにかく、読んでいる歌集の量、
読み込んだ歌の数、どれを取っても、
脱帽しかありません。
歌人でも、これほど読んでいる人は、
そんなに多くはないと思います。
読み方は、
やはりミステリー作家にふさわしく
謎解き系の読みです。
そのせいか、
小島ゆかりさんや伊藤一彦さんの歌は、
一首も登場しません。
コスモスでは、
宮先生、田谷さん、杜澤さん、高野さん、桑原正紀さん、
そして大松くんの歌が「うた合わせ」の百首の歌として取られています。
とにかく刺激的な本です。
歌の読みについても考えさせられます。
ただ全面的に肯定するわけではなく、
こういう読み方もあるんだなあという点で
参考になるということです。
まあ、でも、歌人のみなさん、
どうぞ一度読んで、
ガツンとやられたほうがいいかもしれません。
自分の穴ばかり一生懸命掘っていても、
得られるものは、そんなにないでしょう。

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加藤治郎さんが昨年中日新聞の夕刊に連載した
「東海のうたびと」が早くも刊行された。
出版元は、中日新聞社。
定価1200円+税。
ぼくの記事もあるので、
多くの人に買っていただいて、読んでいただけると嬉しい。
この値段なら、買っていただけそうな気はするが。
いや、考えが甘いかな。

中日歌人会の60周年記念行事として、
パネルディスカッションを来年の1月に行うが、
参加するパネラー全員と司会の小塩さんは
当然のことながら、この本に登場する。
もちろん著者の加藤治郎さんも。
念のために名前を順に挙げると、
小塩卓哉、
大塚寅彦、
大辻隆弘、
加藤治郎、
栗木京子、
島田修三の6名です。
錚々たるメンバーです。
だって、全員全国区の歌人ですから。

ぼくはもちろん裏方専門。
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昨日の「中日」の夕刊の「大波小波」欄に、
テレビドラマの『重版出来!』が取り上げられている。
こんな書き出し。

…………………………………………………………
テレビドラマ『重版出来!』(TBS系火曜午後十時、
原作は松田奈緒子の同名漫画)がすばらしい。構造
不況に喘ぐ出版業界の現状を正確に映し出すだけで
なく、出版の理念を想起させる。軽快にして骨太。
…………………………………………………………
まさに同感。
第五話の社長のつぶやきが、素晴らしい。この欄に
引用されているので、そのままここに紹介する。

…………………………………………………………
「生きていくのに本は必ずしも必要じゃないかもしれな
い。読まなくても生きていけるかもしれない。だが、た
った一冊の本が人生を動かすこともある。だれかに救
いをもたらすこともある。だから私は、一冊でも多くの
本を読者にとどけたい。それが本への恩返しなんです。
……………………………………………………………
こういう思いをもった出版人が多くいることを願ってやまない。


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遠藤周作の「ヴェロニカ」が容易に読めることが分かった。
中公文庫の新刊『教科書名短編―人間の情景』に入っている。
これはなかなか良い本だ。
鴎外の「最後の一句」や「高瀬舟」も入っている。
山本周五郎の「鼓くらべ」や「内蔵允留守」も入っている。
このシリーズは今のところもう一冊あって、
「少年時代」という副題がついている。
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今日「コスモス岩手」5月号が届いた。
何と柏崎驍二さんの詠草が掲載されている。
「コスモス」の6月号にも掲載されていたから、
ひょっとしてと思い、頁を繰ってみてよかった。
率直に嬉しい。
以下にその5首を紹介する。
「コスモス岩手」に載る柏崎さんの最後の歌である。

・枇杷の香のたちくるごとし花の絵のコスモスを囲む寄せ書き色紙
・七々子塗箸のうつくしのどぐろの干物もひつまぶしもありがたう
・退院後ややに手指のなじみきて歌集のお礼また書きはじむ
・森岡貞香の歌に素直に対き合へる花山多佳子にけふ葉書かく
・病む人も歌止めてゆく人もあり寂しくはあれどコスモスの友

読んでいると、さまざまな思いが湧いてくるが、
今日は書けないなあ。



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「うた新聞」6月号から吉川宏志さんの連載がはじまった。
題して「(いま)を読む」。
この文章で柏崎さんの歌について、
触れてくださっているのが嬉しい。
特に、後半のこんな記述が特に嬉しい。

………………………………………………………
「短歌的抒情」という言葉で割り切られたために、
柏崎の歌は、それ以上の豊かな批評に出会うこ
とが少なかった。
短歌の批評は、「短歌的でないもの」を実際以上
に高く称揚してしまう傾向がある。新奇なものは
特徴を捉えやすいからだ。しかし、新奇な歌がす
べて優れた歌とは限らないし、一見古風な作にも、
新しい芽が潜んでいる。
………………………………………………………

多分、短歌批評の未成熟がこのような現今の批評の
停滞をもたらしているのだと思う。だから、すぐに「新奇」なものに飛びつく。
そしてまた、次の「新奇」なものに飛びつく。
そうして、佳い歌が評価されないままになってしまうのだ。
柏崎さんの歌は、そういう意味で評価されない典型なのだろう。
残念なことだ。
歌を詠みつつ、困難に直面している人は、だまされたと思って
柏崎さんの歌集を読んでみるといい、きっと目が覚める。
歌を詠むということがこんなに素晴らしいものなのか
痛感するに違いない。
「新奇」なものの誘惑に負けないでほしい。

そうそう「塔」5月号の、
吉川さんの「青蝉通信」もとても佳い文章だ。
なかなか難しいことを語っているので、
かいつまんで書く勇気はないが、
重くて大切なことを書いているのは間違いない。
題は、「『ヴェロニカ』のこと」。
『ヴェロニカ』は、遠藤周作の小説の題名。
大口玲子さんの『神のパズル』の話題から、
遠藤の小説に及ぶ。
キリスト教理解の問題もあるかもしれない。
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「短歌研究」6月号に
「二宮冬鳥のことなど」と題する20首を
載せていただきました。
なぜ原稿依頼があったのかも謎ですが、
とにかく詠みました。
書店などで覗いていただけると幸いです。
それにしても、
この作品の中でも話題にしましたが、
昨年出した歌集には、
二宮冬鳥を詠んだ歌が何首かあったのですが、
ほとんど言及されませんでした。
謎です。
というより、もう歌壇においては、
二宮冬鳥という稀有な歌人は、
忘れ去られてしまったのだろうか。
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「エフーディ」2号が今日届いた。
1号雑誌でおわるのかなと思っていたので、
とても嬉しい。
さらに嬉しいのは、
この号の旅のメンバーに、
なんと小島なおさんも加わっているのだ。
ただ、なおさんの詩は掲載されていたが、
なおさんの俳句はなかった。
なおさんの俳句が読みたい。
でも、川野里子さんの俳句もないなあ。
三浦しをんさんの俳句はある。

・猿まわしの猿も一息焼きもろこし

三浦さんは、すべてのジャンルにエントリーしている。
ということで、短歌はこう。

・十字架とΩ(オメガ)を隠し墓石に刻んだ文字は妙法蓮華

ちょっと難しい。題は「キリシタン受難」。

最後になおさんの短歌を。

・しろがねの眼鏡の青年廉太郎ふわりとゆけり飛び石のうえ

あれっ、現代仮名遣いだ。
今頃気がついた。
コスモスの歌も現代仮名遣いなんだ。

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ここにどうしても書きたい本があるのだが、
どうにも書けない。
とにかくとんでもない本だ。
出てくる歌人の名前は、
まあだいたい知っている。
でも、出てくる歌集を知らない。
中には、出版社名も初耳の歌集がある。
例えば、花山多佳子。
歌集名。「樹の下の椅子」。初耳。
出版社名。橘書房。初耳。
この歌集、『現代短歌大事典』によると、
1978年の刊行とある。
小池光の『バルサの翼』も1978年刊行。
こちらは出たときに手に入れた。
でも、花山の歌集はまったくノーマーク。
どうしてなのか。
玉城徹が苦手だったからかな。
でも、これは後からのこじつけ。
という具合で、
とにかくショック状態。
もう少し落ち着いたら、
この本について書けるかな。
ここまで読んで、
ぼくが書きたいと思っている本が何か
分かる人は、我が良き友と言いたいな。
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今日、注文していた『田谷鋭全歌集』(柊書房)が届いた。
歌集未収録の歌が4261首ある。つまり歌集10冊分くらい。
だから、やむをえず二段組みになっている。
60歳以後、なぜ田谷さんは、歌集を出さなかったのか。
巻末の「編集覚え書き」で高野さんも、
このことについて触れているが、
結論は、分からない。
ぼくの一つの考えは、
秘書的な仕事のできる側近のような方が、
周囲にいなかったのではということ。
もちろん、全く根拠のない推論。
でも、そんな気がする。

とにかく多くの方に読んでいただきたい。
田谷さんの歌から学ぶことは多いはずである。
値段は高いが、全歌集だから、
これくらいの金額は仕方ない。
散財をお願いしたい。
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