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「相棒」

2018/11/29

昨日の「相棒」を見てびっくり。
短歌ネタ満載。
新聞歌壇の投稿歌。
投稿者は、ホームレス歌人。
挙げ句の果てには、
官僚たちの歌会まで登場。
内容はイマイチでしたが、
新聞歌壇の選歌者の名前は、
笑うしかなかった。
笹本公彦とか栗山ゆかりという名前になっていた。
当然、何人かの新聞歌壇選者の名前をミックスしことが分かります。
宇田川さんの日記によれば、
笹公人さんが協力していて、
歌会の取材もされたとか。
ところで、
先日高野公彦さんからお聞きしたが、
最近の新聞歌壇の投稿者ですが、
男性が五割を超えているそうです。
定年退職した人たちが、
投稿を始める率が高くなってきたとのことです。
この番組の影響で、
さらに増えると嬉しいのですが。

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「OCTO」

2018/11/28

「OCTO」という本が届いた。
内容は、超結社の8人の女性歌人のアンソロジー。
しかも、同人が全員1973年生まれだから、
それぞれ73首載せている。
編集人は佐藤りえさん。
発行人は富田睦子さん。
富田さんの73首の題は「雨後の月」。
「雨後の月」は酒の銘柄名。
ぼくはまだ飲んだことはない。
この73首にこんな歌を見付けた。

・満月は老ゆることなくそらにあり『黒羅』をひらく夜の安堵は
・逝きしひとの歌集読むとき鳥葬の鳥はなずきに羽ばたき初むる

『黒羅』は河野愛子さんの歌集。
ぼくも好きな歌集だ。
河野さんは一度だけ遠くから見た思い出がある。
京都の春のシンポジウムの会場だった。
そのときの河野さんは、まさに黒羅の人だった。
お手紙は何度かいただいたが、
声を聞くことのできる機会はなかった。
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訂正

2018/11/17

一昨日、稲垣喜代志さんにお会いしたのは、
古島哲朗さんの出版記念会と書いたが、
そうではなかった。
今日、午後しののめ短歌会の月例歌会があり、
この話題を出したところ、
古参の会員たちから、
稲垣さんは来ていませんでしたよと言われ、
よくよく考えたら、
違う会の懇親会の席で稲垣さんとお会いしたのだ。
はっきりは覚えていないが、
森三郎という刈谷出身の童話作家についての
シンポジウムが刈谷中央図書館であり、その後の懇親会で
お会いしたのだ。
森三郎さんは、森銑三さんの弟である。
なぜかお兄さんの銑三さんより、弟の三郎さんのほうが、
刈谷では人気がある。
もちろん、全国的には、森銑三さんのほうがよほど有名であるが。

ところで、今日の歌会で、
何とぼくの提出した詠草が10票獲得した。
前代未聞、あるいは空前絶後としか言いようがない。
だいたいは、0票なのだから、
10票は、われながらよく入ったものだと感心している。
それから、
本日届いた「コスモス」12月号では、
高野公彦さんが、ぼくの歌について書いてくれている。
これも嬉しかった。
高野さんとは、一週間後にお会いする予定。



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午前に久し振りに文化のみち二葉館を訪れた。
風媒社を起こした稲垣喜代志さんの展示がされていて、
18日までなので、今日しかないと思い、出かけた。
稲垣さんは昨年亡くなられたが、
ぼくは一度だけお会いして、お話をしたことがある。
しののめ短歌会の前任の講師の古島哲朗氏の
出版記念の会にいらっしゃっていたのだ。
風媒社の稲垣さんの名前だけは以前から知っていたので、
お会いしてお話ができたのは嬉しかった。
というのも、稲垣さんは、元々は刈谷の人なのである。
刈谷出身の人で、文化的活動をしている人はそう多くないので、
ぼくも記憶していたのだ。
ただ稲垣さんは刈谷の町が嫌いだったと思う。
でなくては、トヨタの暗部を描いた本を出すことはなかったと思う。
そうそう、展示のテーマは、
「反骨の編集者稲垣喜代志の眼差し」となっていた。
愛知県出身で反骨の代表と言えば、
杉浦民平だが、
風媒社が杉浦民平の本を多く出しているのも
むべなるかなと思った次第である。
展示を見たあと、館長さんと少し話をして、
午後の講義のある大学に向かった。
大学には12時過ぎに着いたが、いつもよりは少し早く着いた。

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春日真木子さんの第13歌集『何の扉か』(角川書店)
を読んだ。
92歳になられたが、
歌は実に若々しい。
宮英子さんの晩年の歌にも感じたが、
本当に自由奔放に詠んでいる。
そんな歌を挙げてみる。

・いたはられ座るほかなししほしほと炎昼こもるわれは「ゑ」の字に
・菊坂か、紅梅坂か杖捨ててわが夢の坂足かるかりき
・さくら散る時間の光を曳きて散る 何の扉か開やうなる
・何いろにわが眼に映る今年花 憲法九条あやふきときに
・青草の韮を散らしし粥啜る八・一五われは民草
・近き日はマイナンバーを記すにや老いの胸にも蝶の翅にも
・風の渦黄葉の渦にまかれをり回収ちかき吾と洗濯機
・老いたるは化けやすしとぞくさかんむりかぶれば花よ 私は生きる
・乾きつつ直ぐ立つ木賊の小集団わが在らぬとき手をつなぎゐむ
・花桃のひらきてわれは九〇歳 ああ零からの出発の春
・九〇歳は吉事にあらめこれよりはボーナスタイムよ朗ら澄む空
・中年が宙年ならば老年は牢年なりや 朗年とせむ
・鳩寿なるわれと並びて二歩三歩土踏む鳩の歩みは優し
・九十歳に一つを加ふこれよりはほぐれよはぐれよ春の自由へ

政治に関わる歌もあるのが、
春日さんの歌の一つの特徴だろう。
老いたるとはいえ、申すべきは申すという信念があるのだろう。
水甕の主宰としての気構えも伝わる一冊だった。
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雨の歌

2018/11/14

三枝浩樹さんの第6歌集『時祷集』(角川書店)には、
雨の詠まれている歌が多くあるが、
その中でも、この歌にどうしようもなく、引き込まれた。

・八王子を過ぎて車窓にひかるものほそくふるえてすじを引きたり

直接「雨」という語を用いてはいないが、
雨の歌である。
雨をこんなにも繊細に詠んだ歌はないと思う。
この歌の背後には、暗澹とせざるをえない現実があるが、
それはここに書くことではないので、
意志のある方はこの歌集を手にとってほしい。
この歌の次にも雨を詠んだ歌がある。
こちらにも「雨」という言葉は用いられていない。

・絹糸のなかにとりどりの傘見えていまにも壊れそうな夏空


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「塔」11月号をいただいた。
編集後記の吉川宏志さんの文章を読んで、
いろいろ考えてしまった。
9月にお母様が亡くなられたことに触れて、
吉川さんの決断に関わって、
お母様が三度「ひどく泣いた」ことについて書いている。
ここから、何か書こうとして書けない。
母と息子との関わりは、どうにも難しい。
私の母は存命だが、
今だにお互いにやりにくく思っている。

永田和宏さんの歌が、素直におもしろい。

・寝てゐる奴の横にしつこく立ちながら講義を続ける しかし起きない
・格段に講義はうまくなりたれど何かが足りないこの上手さには

私も、寝ている学生の横で話すことはあるが、
「しつこく立」つことはない。すぐ引き返す。
まあ、立っていても、だいたいは起きない。
バイト疲れとか睡眠不足で、
大学で疲れを癒し、睡眠不足を解消しているのだ。

二首目の歌はすごい。
私は今だに後悔ばかりだ。
まあ、永田さんとはキャリアが全然違うから仕方ないか。
ぼくはまだ大学の講義は8年目だ。
この先も「上手」になる気はしない。
これからも後悔しては、続けてゆくのだろう。

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永田紅さんの第四歌集『春の顕微鏡』(青磁社)にこんな歌を見付けた。

・町内を回覧板は回るなり永田→田中→中川→川端

詞書がある。「岩倉長谷町 嘘のような並び」。
回覧板を回す順番がしりとりになっているというのは、
驚くしかない。仕組むようなことではないのだから。
この長谷町の家には、
当然ながら今は永田和宏さんしか住んでいない。
しかし、永田さんは、世界中を駆けめぐっているから
あまり自宅には帰ってこない。
この歌の前にはこんな歌があった。

・日中は無人となれる家なればしゃあないなあと家が留守居を

家のほうで永田さんが不在のときは何とかしてくれるのだろう。
今度は違う方面の歌。

・起きてから食べむと置きし私の菓子パン食べてしまえり夫は

ありがちだが、食べものの恨みはなかなか後まで消えない。
ただ私の関心は、この「菓子パン」の種類だ。クリームパンなのか、
餡パンなのか。
私の予想は餡パンだが、果たして真相やいかに。
最後にこんな歌を。70歳以上の方には
もう理解できない世界かもしれない。

・グーグルがホリデーロゴになっている日の夕暮れにクリックしたり

ところで、この歌集には栞紐が二本ついている。
もちろん色も変えてある。朱色と桃色。
なんか得した気分。




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「幻桃」11月号が届いた。
特集は「石田比呂志」。
一瞬意外な感じがしたが、
よくよく考えたら、当然だと思い直した。
「幻桃」を創刊したのは「未来」の今西久穂だったし、
引き継いだ松村あやも「未来」である。
だから、一時期はかなり「未来」において、
存在感を示した石田について、
「幻桃」が特集を組むのは当然だと言える。
簡単な年譜があって、
石田の「未来」入会は、1959年とある。
74年に「牙」復刊、
75年に熊本に移るとあるから、
このあたりで「未来」と距離をとりつつあるのだろう。
正式にいつ「未来」を離れたかは記してない。
一度だけ石田さんにお会いしたことがあるが、
何とも豪快な九州男児で、
一度しかお会いしていないのに、
未だにあの時の石田さんのお顔を忘れることはない。
一緒に写真も撮り、保存してあるはずだ。
石田比呂志という巨人について、
正面から取り組む歌人が現れないかなあとつくづく思う。
スケールが大き過ぎて難しいとは思うが。
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