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今日は、名鉄カルチャーの日。
感染者数は最高を更新しているが、全員出席。
最初はひとしきり一昨日の雷雨の話題。
受講生から、7月18日付けの毎日新聞をいただく。
「詠む広場」のページ。
何と新刊の案内欄に、
『聴雨』が取り上げられている。
執筆者は中川佐和子さん。
簡単な紹介と一首取り上げている。
取り上げられたのはこの歌。
礼状の十首選にもよく引かれている歌。

・本屋さんの棚に並びて背を見せて本のいのちが灯りはじめる

とにかくありがたいことだ。

もう一人の受講生からは、
「未来」のコピーをいただく。
岡井さんの関係の箇所のコピー。
亡くなる数年前からのもの。
前回の講座で、
最晩年の岡井さんの言動を興味があるということを話したら、
わざわざコピーしてきてくれた。
こちらもありがたいことだ。
最近はひたすら感謝している。
感謝の日々だ。

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昨日届いた「滄」114号の「歌集紹介」欄に、
『聴雨』が登場していて驚いた。
6月中旬に全国の歌人のみなさんにお送りしているので、
実に早い反応だ。
執筆者は小宮山久子さん。
信州上田在住の歌人である。
貴重な誌面をぼくの歌集のために割いていただいて、
ただただ感謝するばかりである。
紹介の文章も、
簡潔で要領を得た文章で実にありがたい。
「滄」は、岡野弘彦さんが創刊し、20年後に終刊となった「人」の
同人たちの一部で結成されたグループであるが、
着実に雑誌を刊行し、活動を続けている。
こういう集団が実は現代短歌を支えているということを
今の若い歌人たちは知らない。
知らないままに、自分の歌の評価ばかりにこだわっている。
機会があれば、結社誌をのぞいてほしい。
誌面に残されている蓄積がどれほどのものか、
見極めてほしいものだ。


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『麦笛』

2022/07/25

本日届いた、短歌人に所属する室井忠雄さんの第四歌集『麦笛』(六花書林)の歌を読んでいたら、
三井ゆきさんの登場する三首があって、嬉しく読んだ。
三首すべて紹介する。

・北陸の海岸線を歩むゆく馬と三井さんとに夕日が赤い
・八十歳を超える三井ゆきさんの騎乗のアレキサンダーアモの歩みぞ
・三井さんが泊まりに来たとき下げてきた「手取川」一升瓶は北陸の酒

この三首の前には三井さんのご主人、高瀬一誌さんを詠んだ歌もある。

三井さんは馬に乗りたくて、高瀬さん亡きのち、
居を北陸の金沢に移したと、かつて記していた。
馬の名前などは知るよしもなかったが、
いい名前だ。
「手取川」は、居酒屋に置いてあれば飲むお酒。
なかなか美味しい酒だ。
北陸のお酒はあまり知らないが、
なぜか「手取川」だけよく飲んだ記憶がある。

室井さんは、昭和27年生まれだから、
今年の九月で古希となるわけだ。
ぼくの歌に似通うところもあるが、
飄々とした味わいはぼくの歌にはないものだ。
まだ三分の一しか読んでいないので、
どんな出会いがあるか楽しみだ。


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さきほど、奥村さんから、下記のメールが届きました。
お時間のある方はどうぞ。
確かに主演奥村晃作の映画みたいです。
電車の映像と音から始まるのもいいですね。


☆おはようございます!

6時、起床➡目覚めの短歌 

YouTubeでオクムラ長々と独演す 西崎憲の質問受けて

https://www.youtube.com/watch?v=No5m2mdaynQ

一時間3分、ほとんど映画です

お時間が取れる折に、どうぞご覧ください

ご覧頂ければ、幸いに存じます




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「現代歌人協会会報」171に、
第66回現代歌人協会賞に関わる記事が掲載されている。
その記事の中の、
『みじかい髪も長い髪も炎』で受賞した平岡直子さんの「受賞のことば」を読んで、驚いた。
正確に言えば、
驚いたというより、短歌の世界の景色はもう途轍もなく変わっていたんだということを
改めて認識させられた。
ということで、その驚いた箇所だけ引用する。
話題は、かつてBSでやっていた「列島縦断短歌スペシャル」に
初めて投稿したときのこと。

「穂村弘に自分の歌を読んでほしかった。「大宮はわたしの庭よ
と言いながら傘の売り場がわからずごめん」という歌を送って、
読んでもらえるはずだと思った。エピソードをリアルにみせる固有名詞
の入れ方や、微妙な屈託の塩梅がうまくいったと思った。実際、
穂村弘は番組内でその歌を紹介してくれたけど、最後に発表される
十首選や特選には入れなかった。代わりに、いくつか送ったうちの別の
一首が岡井隆の特選に選ばれた。岡井隆の特選だ。しかしそのときの
わたしは不満だった。このおじいさんが誰なのかわからず、というか
穂村弘以外の選者が全員わからず、穂村弘に歌を選ばれたかったと
思った。」

岡井さんが「このおじいさん」と言われては、絶句するしかない。
平岡さんは1984年生まれだから、今30代後半。
ということは、もう今の若手歌人にとって、
岡井さんは、どこかのおじいさんなのだ。
こういう時代が来ていたのだ。
穂村弘の登場が大きく現代短歌を変えてしまった
一エピソードとして、この「受賞のことば」は重い。



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宇田智子さんの『増補 本屋になりたい』がちくま文庫から出された。
もともとは2015年に「ちくまプリマー新書」の一冊として出されたのだが、
今回は増補してちくま文庫での登場となった。
増補ということで、
第6章「「本屋になりたい」それから」が加わった。
プリマー新書として刊行された後の七年間について
書き足したものである。
那覇市の第一牧志公設市場の建て替え工事が始まり、
さらにコロナ禍の日々となるという激動の七年について
書かれている。
小さな古本屋さんがどんなふうに
厳しい現実と向き合い、
古本屋という仕事の意味を
自身に問いかけつつ生きる姿には感銘を受ける。
『聴雨』の歌にあるように、
那覇を訪れた時に、
宇田さんの古本屋さんを訪れようと
公設市場に向かい、探し始めた時に、
急に体調が悪くなり断念したという
苦い経験があるので、
今度那覇を訪れた時には、何としても
探し出して、沖縄の本を買いたいと思う。
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『象の眼』

2022/07/15

奥村晃作さんの第十八歌集『象の眼』(六花書林)を
繰り返し読んでいる。
奥村晃作健在を、
このコロナ禍にある歌壇にアピールする歌集で
あることをまず言いたい。
では、この歌から。

・トンネルの出口が遙か前方に明るく見える直線の道

奥村短歌の神髄とも言うべき歌である。
当たり前のことを詠んでいると思った人は、
多分奥村短歌を永遠に理解できない。
直線だから出口が「遙か前方に明るく見える」のである。
この歌には驚いた。

・「五十肩、奥村さんなら九十肩(くじゅうかた)」レ写真示し医師は宣(のたま)う

何に驚いたかというと、
「レ写真」。
音数を合わせるとは言え、いくら何でも
「レ写真」はないだろうと大方は言いたくなる。
でも、奥村晃作は「レ写真」と詠んでしまうのである。
これが、奥村晃作の凄さなのである。
ぼくはこんなアクロバティックなことは、
絶対にできない。
ぼくならそのまま「レントゲン写真」と詠んでしまうだろうな。
そして、とんでもない字余りということを指摘されるだろうが、
一向に気にしない。
しかし、奥村さんは「レントゲン写真」とは絶対に詠まない。
韻律が第一義であるからだ。

この歌は面白い。80歳を過ぎて、注射がきらいなどという
告白をしなくてもいいのにと思うのだが。

・貼り薬、飲み薬貰い油さす注射は拒む注射嫌いのわれ

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つげ義春

2022/07/06

『聴雨』を読んで、
ぼくがつげ義春のファンであることを知り、
驚いたという感想を何人かが寄せてくれた。
もう高校性の時からつげ義春が好きだった。
だから、「ガロ」も買った。
ただ不思議なことに、
つげ義春の本が手元にほとんどないのだ。
特に青林堂から出した作品集が見当たらない。
処分したおぼえはないし、
そもそも処分する気はない。
それなのにない。
一応ちくま文庫のコレクションだけはある程度そろえている。
しかし、コンプリートではない。
ところで、
つげ義春の新刊が出た。
もちろん漫画作品ではない。
何とつげ義春は息子さんと2020年に
フランスに行ったのだ。
その記録が本になった。
ただし、記録だけだと30ページ程度にしかならないので、
名作の原画を載せている。
だから、記録の方は、六分の一くらいしかない。
でも、フランスにいるつげ義春の写真が掲載されているのだから、
買わないわけにはいかない。
とにかく信じられないことが起きていたのだ。
もちろん、息子の正助くんの奮闘があってこその
フランス旅行であったことは間違いない。
新潮社の「とんぼの本」のシリーズで出された。
「とんぼの本」のシリーズだから、
そんなに高くないと思ったが、消費税込みで2750円。
ちょっと高い。
本の名前は「つげ義春 名作原画とフランス紀行」。
6月30日発行。



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炯眼の主

2022/07/06

7月4日付けの松村正直さんのブログ「やさしい鮫日記」に、
『聴雨』が紹介されている。
10首挙げていただいて、
それぞれにコメントが付けられている。
他の人の歌集紹介の時は、
コメントの部分は、そんなに丁寧に読まないのだが、
さすがに自分の歌集なので丁寧に読んだ。
読んでみて、本当に驚いた。
短いコメントなのだが、
どのコメントも、
ぼくの意図を見事に読み解いてくれている。
大げさかもしれないが、
ぼく自身がこの自分の歌にコメントをつけよと言われても、
こんなに簡潔に自分の歌の意図を書くことはできないと思った。
読みの力というものをつくづく思い知った。
そして、もちろん、
こんなふうに紹介して、
読み解いてくれた松村さんには、感謝しかない。
内心は、松村さんが紹介してくれるといいなあと思っていた。
でも、こんなに早く取り上げていただけるとは思わなかったので、
余計に嬉しい。
とくに9首目、10首目のコメントが嬉しい。
というより、本当にありがたい。
良き読者に会えたという歓びを
今噛みしめている。



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