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「六花」7号が届いた。
名目はPR誌なのだが、
実質は、短歌、俳句に関わる評論、エッセイを
多く載せる総合誌的な雑誌になってきた。
片岡絢さんの「一九九八年」と題するエッセイが実にいい。
なぜ短歌の世界に入っていくことになったのか、
そのきっかけ、そしてその後の出会いが丁寧に書かれていて、
歌も魅力があるが、エッセイもこれをきっかけに
どんどん書いてほしいなと思った。
それにしても、短歌との関わりのきっかけが、
青山学院女子短期大学の国文科へ推薦で入ったこととは。
この後の展開が実にいい。
ぜひ購読して読んでほしい。
そういえば、
「NHK短歌」の12月号の「居酒屋たむら」で、
田村元さんが、片岡さんの第二歌集『カノープス燃ゆ』の
あの歌を取り上げている。
そう、あのアイロンの歌を。
雑誌であの歌を読んだ時、とにかく驚いたし、
こんなに面白くアイロンがけ詠めるんだとひたすら感心してしまった。
そのおかげか、『カノープス燃ゆ』の売れ行きはよいそうだ。
率直に羨ましい。
ところで、ぼくも「六花」に書いている。
「アララギ」や「未来」に所属した野場鉱太郎という歌人の
遺歌集と評論集について書いている。
遺歌集の序文は土屋文明、評論集の序文は、杉浦民平が書いている。
大御所二人に序文のもらえる歌人などめったにいない。
それくらい、戦後の「アララギ」などで活躍が著しかったからだと思う。
私は野場さんに直接会ったことはない。
娘さんが県立高校の国語の教員として一年先輩だったので、
会う機会があった。と言っても、今から50年近く前だ。
最近、20代、30代にやっていたことがいろいろ浮かんでくる。
これも老いのせいなのだろうか。
まあ、とにかく「六花」の拙文、読んでみてください。
「アララギ」の人よりも「アララギ」を勉強していた人間がいたことが分かると思います。

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「コスモス」12月号の高野公彦さんの歌がとにかく面白い。
いや、面白すぎる。
まずこの歌。

・吾亦紅よりも地味だがひしひしと日本ぢゆうに吾亦老ゐる

「吾亦老」にはルビがふってある。
「われもらう」と。
この歌も面白い。

・酒といふ<液体美女>を侍らせて夜々楽しめり伊予猿われは

お酒を「液体美女」と詠むのはなんともすごい。
毎晩お供をしてくれて、いい気分にさせてくれるから、
「美女」なんだ。
でも、この歌、高野さんみたいなお酒ならどんな種類も
美味しく飲むという人でないと絶対詠めない。
お酒の飲めない人には永遠にわからない境地だ。
もう一首。

・不可解な歌を解釈無しで褒むあたかも歌の霊感商法

いやあ、この歌もすごい。
でも、同感だ。
訳の分からない歌をやたら褒める人がいる。
ひよっとしたら、わけがわからないこと自体に価値があるかのように褒める。
それにしても「歌の霊感商法」とは、
言いえて妙過ぎる!






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「コスモス」12月号が届いた。
恒例の歌集批評特集が掲載されている。
ぼくの『聴雨』の評も掲載されている。
執筆者は、竹内夏実さん。
多分、竹内さんは、これまで一度も歌集評を
書いてはいないと思います。
それを承知で、執筆していただきたい方の
第一番目に竹内さんを挙げさせていただきました。
竹内さんはコスモスの古い会員で、
「桟橋」にも52号から参加している。
竹内さんが初めて「桟橋」の批評会に出席したのは、
1997年11月24日の第52号批評会。
この批評会で、竹内さんは、
ぼくの作品評をしてくれた。
このことも竹内さんにお願いした理由。
もう一つは、同い年だということ。
そして、竹内さんが宮柊二先生の娘さんであること。
宮先生の次女である。
このことは、最近入会された方は知らない。
というより、知らない方が圧倒的に多いだろう。

竹内さんの批評は、とても嬉しかった。
最後のところで、
マルセル・プルーストの『失われた時を求めて』の
固有名詞の使用と対比していただいたのには、仰天した。
でも、嬉しい。
因みに竹内さんの本業は、絵描きさんである。
要するにぼくは無茶ぶりをしたのだが、
それを竹内さんは引き受けてくれた。
これほど貴重な歌集評はないとつくづく思う。
結社というもののありがたさもまた思う。
ぼくがコスモスの会員でなければ、
宮先生の娘さんに歌集評を書いていただけるなどということはありえないのだから。
くどいようだが、まさにこういうことを望外の喜びというのだろう。


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昨日は、刈谷市市民文化祭短歌大会に
講師として久しぶりに出席。
講話の題は「私が好きな歌」。
栗木さんや小池さんの新歌集の歌を紹介し、
最後に森銑三さんの歌を紹介する。
何せ森さんは、刈谷出身の方なのだから、
刈谷で行われる短歌の会で紹介しないという手はない。
次にあげる歌を紹介する。出典は『木莬』より。

・ふるさとの家に帰りて亡き母と飯はむ夢や覚めてはかなき

・狭霧はふ野辺の焚火の赤き色見つつぞ過る帰る電車に

・なき母のかたみのころもけふは着てとしほぎに行くうれしき心

・この店にありと覚えて過ぎしふみけふはも見えず売れにけらしな

・古きふみまれには買ひてかゆすひてかそけく生くるわが身いとしも

・をさな子が敷居の上を走らするおもちやの汽車は木の切にして

これらの短歌は、戦後間もない頃、
「途上」という雑誌と「掃苔」という雑誌に発表したもの。
お弟子さんの小出昌洋さんが見つけ出したものではないかと思う。
こういう歌が一首でもできたらいいいなあと
つくづく思う。

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メール便で短歌の雑誌が5冊届く。
郵便では1冊。
まず「表現」11月号。
『聴雨』の紹介記事が掲載されている。
ありがたいことだ。
主宰の結城千賀子さんは、礒幾造の娘さん。
礒幾造は山口茂吉の弟子であった。
山口茂吉のもう一人の弟子加藤淑子さんのつながりで、
ぼくと結城さんは、交信がある。
次に「八雁」11月号。
創刊十周年記念特集号との合冊。
頁数は何と264頁。
会員諸氏の熱情がこもっている。
「エッセイ・この十年」の中に近藤優樹という人の
「二十二歳だった」と題する文章を見つけたが、
阿木津英という先生との出会いも書かれていて、
何とも初々しい感じがよかった。
その次が今回角川短歌賞を受賞した工藤貴響さんの文章で
「八雁」には有望な若手が育っていることを実感した。
次は「綱手」11月号。
残念な知らせが掲載されている。
長く「綱手」を牽引してこられた井上美地さんが
9月30日に逝去されたとのこと。
昭和20年代には、浅尾充子の名で、
「ぎしぎし」のメンバーとしても
活躍されていた方だ。
数年前、郡上でお会いしたことがある。
また一人昭和20年代の短歌の世界の生き証人がいなくなった。
次に現代短歌・南の会が発行している
「梁」103号。
若手の台頭著しい雑誌に変わりつつある。
次に「りとむ」11月号。
通常号。選歌体制の変更案が掲載されていて、
どこも大変なんだと思った。
郵便で届いたのは、「幻桃」11月号。
伊吹純さんは健在で、今号の「一首逍遥」では、
宮柊二の歌を取り上げている。

それにしても、都合6冊の雑誌が届くというのも、珍しい日だ。






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