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本日の中日新聞夕刊の「中部の文芸」欄に、
佐藤華保理さんの歌集『ハイヌウェレの手』と
神谷朋子さんの歌集『月ふとりゆく』が取り上げられている。
執筆者はもちろん松平盟子さん。
この二人については、私は個人的に知っている。
佐藤さんは「まひる野」所属で、この歌集は第一歌集。
島田修三さんの愛弟子の一人。
神谷さんは、「かりん」所属で、やはり第一歌集。
神谷さんと知り合いになったのは、30年以上前。
若い時から歌を詠んでいたが、中断の期間がある。
松平さんがつけた今回のタイトルは「社会で働く女性の肉声」。
働く女性の歌という観点で書いている。
偶然だが、二冊とも本阿弥書店から出されている。
神谷さんの歌集は、昨年10月、佐藤さんの歌集は今年の3月刊行。

この夕刊には、加古陽治さんの「一首のものがたり」が掲載されている。
今回の対象は、『パン屋のパンセ』で有名になった杉崎恒夫さん。
加古らしい丁寧な探索で、杉崎に迫っている好文だ。



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昨日中部日本歌人会の総会が開かれた。
この会議をもって、ぼくの委員長退任が決定した。
事務局員から始まり、委員長職まで、
20年近く事務局、役員と長く、
中部日本歌人会の運営に携わってきたが、
ようやく離れることになった。
20年近く続けてきたので、
これからは、もう歌会以外では、
一緒に仕事をしてきた人たちとは、会えないことに
今ごろ気が付いた。
会うことが当たり前だった人たちともう会えないということがどういうことなのか、
今ごろ思い知った自分にあきれている。

そして、ぼくの後任の委員長には、
塔短歌会の吉田淳美さんに決まった。
長く会計を担当されてきた方で、実務に優れた方なので、
ぼくも安心して退任できる。
もちろん、女性委員長は、初めてである。
なお「淳美」は「きよみ」と読みます。
中部日本歌人会は、
中の会が活動を終えた後には、
東海地方の歌壇の中心として、
歌会活動や合同歌集の作成を続けてきた。
もうすぐ70周年を迎える会である。
これからも、この活動によって、
東海地方の歌壇を支えてゆくことは間違いない。



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「コスモス」5月号を読んでいたら、
片岡絢さんがこんな歌を詠んでいた。

・市役所に勤める我に「シヤクショノのケンコウホケンカ」から電話くる
・電話口の奥の静寂 市役所にケンコウホケンカといふ部署はない
・男性の声じつと聞くこの人が詐欺師を選ぶまでの道のり

特殊詐欺の歌なのだが、臨場感がある。
哀れな詐欺師の声にじっと聞き入る市役所職員の片岡さん。
どうしてこんなことをするようになってしまったのかと、
哀れに思いつつ、男の声に耳を澄ませている。
多分電話の主も対応の冷静さにヤバイと思ったのではなかろうか。
しかし、切らないと自分の身が危ういと思いはじめていたのではなかろうか。
そんな場面も想像させるこの三首、
こういうタイプの歌は珍しいが、人間の姿がまざまざと浮かんできて、
読む側としては、不謹慎にも楽しんでしまうところがある。


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「塔」4月号を読む。

永田和宏さんがこんな歌を詠んでいる。

・斑猫に誘びかれしことはなけれど斑猫と暮らしし四五年がほど

最初の「斑猫」のルビは「はんめう」。二つ目の「斑猫」のルビは
「ぶちねこ」。まあ、猫のほうを詠みたかったのでしょう。
もう一首。

・会へぬまま死なしめし友の一人ありて会はざりし悔いを負ひてゆくべし

「会はざりし悔い」は私にもある。
会いにゆけばよかったのに、逡巡を重ねているうちに、
ある日、訃報が届いてしまう。
これからも何度かこういうことを経験するのだろう。
会うということは、なかなか難しいと、このごろよく思う。
後悔しないように、できるだけ会うことにすればよいが、
それが難しい。

永田淳さんの歌。

・「やりたいこと」に進む子、のある子、を見つけられぬ子、がない子、の四人子

最初に詠まれているのが櫂くんであることはすぐわかる。
他の子たちについては、よく知らないので分からない。
でも、こんなふうにそれぞれが違うということは分かる。
娘には三人の子がいるが、
どうしてこんなに違うんだろうと思うほど違う。
当たり前のことなのだろうが、同じ親なのにという思いが先だってしまう。
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名古屋栄の朝日カルチャーセンターで講演をします。
題は「心に響くうたを求めて」です。
副題は「白秋・柊二の系譜をたどりつつ」としました。

6月17日土曜日の午前10時からです。

北原白秋、宮柊二の名歌を中心に、
二人の短歌の魅力を存分に語りたいと考えています。
なお、この講演は三回シリーズの予定です。
二回目については、今日程等の調整をしているところです。

なお、オンラインも可能とのことです。

詳しくは、朝日カルチャーセンターのホームページで確認してください。

詩歌についての講演等の催しが減っているということで、
この仕事を引き受けました。
少しでも、短歌ブームのさなか、
短歌にさらに関心を持ってくれる人が増えることを期待して、
語りたいと思います。




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朝ドラ効果

2023/04/15

過日、桑名市の大山田地区の公民館に出かけた。
「短歌を愉しむ」という講座の講師を引き受けていたので、
はるばる出かけたということです。
とは言っても、伊勢湾岸を走れば一時間足らずで行けてしまうから、
そんなに遠くという感じはないのですが。
今年の受講生は15名。
例年と違うのは、男性が一人いるということ。
昨年はゼロだった。
ということで、担当の方が男性一人で大丈夫かなあと心配していました。
その男性に担当がなぜ申し込まれたのかを尋ねたところ、
何と朝ドラの「舞い上がれ!」をみて
短歌を作ってみたくなったということでした。
そうか、ここでも朝ドラ効果が出ているんだと思った次第。
幸い、初日は満足されて帰られたようです。
さて、来月はどうなるかな。
早速短歌をつくる宿題を出しましたので。

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「歌壇」5月号のグラビアページを見てびっくり。
「私の自由時間」に高野公彦さんが登場している。
それはいいのだが、
登場の仕方にびっくり。
何と自転車と一緒に写っている。
ママチャリで、荷台には大きな籠が載っている。
多分スーパーで買い込んだものはこれに入れるのだろう。
それにしても、歌人が自転車と一緒に写っているというのは、
非常に珍しいのでは。
12月には82歳になるというのに、本当にお元気だなあとくづく思う。
ただ高野さんに一言忠告しなくてはと思う。
見た感じヘルメットがないですね。
ぜひヘルメットをかぶってください。
今度は、ヘルメットをかぶって運転している高野さんを見てみたいものだ。
なかなかカッコイイヘルメットが売られていますからね。

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「まひる野」4月号が届く。

島田修三さんが、篠弘さんを追悼する歌を詠んでいる。
一首目はこの歌。

・さまざまな距離にて長くつきあひを重ねき篠さん浮世より消ゆ

「距離」という言葉を用いているところに含みがあるが、
具体的にどういうことかは分からない。
五首目の歌。

・大学のけだるき午後を喫煙室に篠さんとだべり愉しかりにき

この大学は、もちろん今も島田さんが学長をつとめる愛知淑徳大学。

七首目の歌。

・身辺は身ぎれいがよろし 雑談にしばしば聴きしが長く忘れず

「短歌研究」4月号の特集記事を読んだ後なので、
この歌の「身辺は身ぎれいがよろし」は、胸にひびくものがある。
醜聞とは無縁の人生であったろうと思う。

最後の歌。
・定型を揺るぎなく守る人だつたわが字余りは嫌ひだつたらう

確かにそうだろうと納得するしかない歌。


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