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観覧車の歌

2023/07/31

今日の中日新聞の夕刊に「一首のものがたり」が掲載されている。
加古陽治さんによる不定期の連載。
今回は、栗木京子さん歌で、
最もよく知られている、あの観覧車の歌。
念のために記しておく。

・観覧車回れよ回れ想ひ出は君には一日我には一生

この歌は角川短歌賞の応募作中の一首。
応募作「二十歳の譜」は、残念ながら次席。受賞作はなし。

加古さんがあきらかにしたのは、「一生」のルビ。
栗木さんは、応募作につけなかった。
どこでつけられたかを探ったところ、
どうやらコスモスの影山一男さんがつけたとうことが分かった。
とは言っても、かなり昔のことだから、影山さん自身も
はっきりとは覚えていないようだ。
とにかく『昭和万葉集』の広告に載せられた10首の中にこの歌が入り、
「ひとよ」ととルビが付けられたことは間違いない。
なお、影山さんは、亡くなられた小高賢さんに誘われて、
「昭和万葉集」の編輯に加わっていた。
今回は、前半では、高野公彦さんが登場し、
後半では影山一男さんが登場しということで、
コスモスの人間としては嬉しかった。
内容をあまりに端折りすぎたので、
関心のあるかたは、
この中日新聞の夕刊を読んでください。


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今朝の中日新聞の「中日歌壇」を見ていたら、
島田修三選にこんな歌があった。

・ああ、ここもかちくさ正文館閉店すここならあると頼った書店

この歌を読んで、ここ数日の違和感の正体が分かった。
ちくさ正文館を間違えて、「千種正文館」と書いていたのだ。
このブログをながめながら、
なにかおかしいなと思っていた。
しかし、原因が分からなかった。
ようやくわかってすっきりした。
それにしても、耄碌したなとおもう。
ちくさ正文館の名前を間違えて表記していて、
気づかないのだから。
いよいよ明日閉店。
改めて、
さらば、
ちくさ正文館‼


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抒情文芸

2023/07/28

昨日千種正文館で購入した「抒情文芸」は、
2010年10月10日発行の第136号。
ぼくが購入した理由は、この雑誌のメインの「前線インタビュー」が
岡井さんだったから。
さきほど調べてわかったのだが、
この雑誌は今も刊行されているのだ。
季刊の小説や詩、短歌、俳句、短歌の投稿誌だから、
続いているのだろう。
それで、昨日岡井さんの記事以外のところを
見ていて驚いた。
というのも、この雑誌の短歌の投稿欄の選者は、河野裕子さんだったのだ。
河野さんは、2010年8月12日に亡くなっているから、
この選歌がもちろん最後だったのだ。
しかも、「ありがとうございました」と題のついた選評は、
選歌辞退の挨拶から始まっているのだ。
そこだけ紹介する。

このたび、選歌をご辞退させていただくことにしました。
五十号から一三六号まで二十二年間におよぶ長きに
わたってのことでありましたが、考えられないほど速く
歳月がたってしまったことに自分でも驚いています。

この後ご自分の病状にも触れている。

そして、「編集後記」には、
河野さんの逝去が記されている。
要するに、ぼくは何も知らないで、
河野さんの絶筆に近い文章が掲載されている
雑誌を購入してしまったのだ。
これも千種正文館のおかげかな。

なお、「抒情文芸」の短歌の選歌は、
小島ゆかりさんが引き継いだ。



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千種正文館

2023/07/27

午前の名鉄カルチャーセンターの講座を終えた後、
千種正文館に向かう。
今月末で閉店との報道があったので、
閉店の前に訪れて、そっと別れのあいさつをしようと思い、出かけた。
やはり私と同じように、閉店を惜しむ人が何人もいた。
店主の古田さんに、古田さんの著書にサインを求めて、
購入する人もいた。
さすがにぼくはそこまではできなかった。
その代わりに岡井さんのサイン本一冊と、
岡井さんのインタビュー記事の掲載されている
「抒情文芸」という雑誌のバックナンバーを購入した。
ささやかななお礼のつもりで。
岡井さんの歌集のほとんどはここで購入した、
塚本邦雄もそう。
ただ今日訪れて、実に寂しい思いをした。
かつては、短歌関係の棚が左側の棚を半分ほど占めていたのに、
何とその五分の一くらいしか短歌の棚はなかった。
短歌ブームとは言えど、書店には関係ないのかなと思ってしまった。
もう気骨のある本屋は、
名古屋の街からは、消え去ってしまったようだ。
それとも、新たな書店主が現れるのか。
それにしても、
ぼくが千種正文館を訪れるのも十数年ぶりだから、
ぼくのように千種正文館詣でをしていた人が減ってしまったことも、
閉店の一因だろう。
独身の時には、万単位で購入していたからなあ。
さらば、
千種正文館‼
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乗馬の歌

2023/07/23

歌人で乗馬を楽しんでいる人というのは、
ぼくは三井さんしか知らない。
最近出た第九歌集『水平線』(角川書店)にはこんな歌がある。
乗馬の基本の歌というべきか。

・左足鐙にかけて背をまたぐ馬の鬣つかみながらに

漢字の読みを確認するような歌。
それにしても、三井さん、かっこいいなあ。
因みに三井さんは、1939年生まれ。
ぼくより11歳年上。
でも、歌は若々しい。
三井さんは、夫君高瀬一誌氏亡き後、住み慣れた東京を離れて、
故郷石川県の金沢市にあるシニアマンションに移り住んでいる。
このマンションを決めた理由の一つが近くに乗馬クラブがあるということ。
もう少しこの歌集から乗馬の歌を紹介する。
こういう老いの迎え方は、とにかくいいなあとしか言いようがない。

・好きなやうに生きてよき日の晩年のわれは馬上の人となりたり
・骨折の手首の痕を見せあへり乗馬クラブの所長とわれは
・厩舎抜け夏草匂ふ原のうへツバメの白き腹のまぶしさ
・四月一日ツバメ飛び交ふ厩舎よりわれは一頭の馬を引き出す
・騎乗するアレキサンダーアモの背はいまだ冬毛のふくらみを見す

二首目の歌には、手首の骨折が詠まれている。
乗馬というのも、
はたから見ると、かっこいいのだが、
なかなか大変なんだということもわかる。
ぼくの場合は、
生まれてこの方、乗馬の経験はない。
とにかく生き物が苦手だから、
今後も決してないだろう。

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昨年の秋出された栗明純生さんの第五歌集
『はるかな日々』(六花書林)をみていたら、
こんな歌を見つけて、少々驚いている。

・シンゾーがウラジミールと呼ばうたびぞっとする笑みプーチンは浮かべ

この歌を詠んだ時点で、栗明は、プーチンの本性を見抜いていたのだろう。
一方「シンゾー」はどうだったのだろう。
信頼しうる友人としてプーチンを見ていたのだろうか。
シンゾー氏はすでに亡くなり、
プーチンはウクライナ侵攻に舵を切り、
世界はあっという間に、暗い時代に向かいはじめてしまった。

一首おいてこんな歌もある。

・核装備なき小国がほざくなと言わんばかりのラブロフの顔

ラフロフは最後の最後までウクライナ侵攻はないと言い切っていた。
侵攻が始まれば、なにか御託を並べていた。
まさに鉄面皮そのものだ。
ロシアという国の政治家はどうしてこんなふうになってしまったのだろうか。
今のところ、こうなるのは必然だという歴史学者の意見のほうが強い。

ところで、栗明が私と同年だと初めて知った。
「銀座短歌」という美しい雑誌を出していたころから知っているが、
もっと年上だと思い込んでいた。



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7月6日

2023/07/07

10時より朝日カルチャーセンターの講座。
講座が始まる前に、ある方から、
ご主人がかつて宮柊二の同僚だったという話を聞く。
というのも、「心に響くうたを求めて」の第二回のちらしを
前回配ったが、そのちらしをご主人が見て、
この人知ってるという話になった。
釜石から富士製鉄の本社勤務になったときに、
隣の課の課長が宮柊二だったとのこと。
こういうこともあるんだととにかくびっくり。
ご主人はその当時22歳で、数年後には、
宮柊二は退職しているから、
話をしたのは二回ほどだったとのこと。
さて、宣伝。
宮柊二の話をするのは、9月30日、10時半より。
この回もオンラインあり。
オンラインがくせになりそう。
もちろん、目の前の聴衆が多いのに越したことはないのだが。


午後三時から、駅前の某ホテルの喫茶ラウンジで、
岐阜の方の歌集作成の打ち合わせがあるので、
それまで、喫茶店で同人誌の校正をひたすら行う。

東京から来られたUさんを交えての打ち合わせは二時間ほど。
その後、Uさんと金山の某所に向かう。
最近知った飲み屋なのだが、
日本酒の品ぞろえがいいので、
東京の人にも満足してもらえると思い、
案内する。
二時間ほど飲み、かつ食べ、語る。
満足していただけたようだ。

9時前には帰宅。

名古屋市内12時間ほどいたので、少々疲れる。


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三省堂の『現代短歌大事典』について書いたが、
我が家の棚にはもう一冊『岩波現代短歌辞典』がある。
しかし、こちらはなにしろ使い勝手が悪くて、
最近ではほとんど開いたことがない。
それに対して、『現代短歌大事典』のほうは、よく使う。
要するに、資料的な価値があるかどうかということに尽きる。
ぼくは一応、この二つの事典と辞典の執筆者である。
とは言っても、そんなにたくさん書いたわけではない。
岩波のほうは、本当に苦労した。
例歌を集めるのに苦労した。
筑摩の『現代短歌全集』のお世話になりながら、
必死に例歌を集めた。
しかし、結果としては、あれだけ苦労したにもかかわらず、
あまり利用されていない現状は認めざるをえない。
理念としては、なかなかいいなと思ったのだが、
理念先行で、いざ使う段になると、
何が必要かわかっていなかったのだとつくづく思う。
岩波のほうの音頭取りは岡井さんだった。
だから、京都まで執筆者会議に出かけて岡井さんに
会ったことも懐かしく思いだされる。
そこで、ぼくや大谷さんの頭髪を見て、
岡井さんが二人とも随分変わったなあなどという
感想をもらしたことも、
今となっては、本当に懐かしい思い出である。

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「まひる野」7月号を見ていたら、
ある人の評論に、こんな本が登場していた。
『現代短歌辞典』(三省堂)。
出版社名も書いてあるが、
残念ながらこういう本は存在しない。
正しくは『現代短歌大事典』。
よくある間違いは、
『現代短歌大辞典』。
この間違いは多い。
確率三割くらいかな。
しかし、『現代短歌辞典』という間違いは初めて。
要するに、校正の問題だと思う。
校正、校閲ができていないと、
その雑誌の価値云々ということになってしまう。
まあ、「まひる野」だけのことではないが。
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