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『昼の月』

2021/06/29

田村元さんの第二歌集『昼の月』を読む。
お酒を飲む歌ばかりので、
ぼくのような少量飲酒人間には、信じられない世界。
コロナ禍以前の宇田川寛之さんと同じような世界。
でも、中には唸りたくなるような歌もある。
まずこの歌。

・妻とともに液晶テレビも出て行きて広くなりたるリビングルーム

離婚後の実に情けない部屋の様子を詠んでしまうというのが今風かもしれない。
でも、ぼくのような古い人間としては、
男の矜持というものはないのかと一言いいたくなる。
この歌もそうなのだが、
全体におかしみを出したいという歌いぶりだ。
深刻な話題も、深刻には歌わない。
それが、田村さんの矜持ということかもしれない。
お酒の歌では、この歌が実にいい。

・みちのくの田酒のうすき黄を愛でてわれが<わ>と<れ>にほぐれゆきたり

田酒は「でんしゅ」とルビが振ってある。
青森のお酒だ。
愛知県ではあまり見かけない。
青森の福士さんにこのお酒のことを教えてもらった。
東北のお酒ては、ぼくはこの田酒が一番好きだ。
青森には、豊盃というお酒もあって、
福士さんは、今はこちらが一押しとのこと。
豊盃に至っては、愛知県で見かけたことがない。
そうそう、この歌についてまだ書いてない。
下句がいい。
田酒でないとこうならないと言いたいが、
まあ、そんなこともないだろう。


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