永田さんのエッセイ集

2011/06/06

永田和宏さんの新刊のエッセイ集『もうすぐ夏至だ』(白水社 1900円)
を読んでいる。
新聞に連載したエッセイを中心に編まれている。
永田さんのエッセイの特徴は、
要するに短歌に関わる内容だけでなく、
細胞生物学者としての書いてきたこともあるという点である。
岡井さんの場合だと、医師としてのエッセイはあまりなかった
気がするし、上田三四二さんもそうだったと思う。
つまり、岡井さんも上田さんも
書くものについては、短歌を中心にしてきたが、
永田さんは、そのあたりの区別はしないようだ。
ぼくは、永田さんの理科系の学者として
書いたものもおもしろく読んだ。
中には、
「大学時報」に載せた文章まである。
京都産業大学の新設学部「総合生命学部」において、
永田さんが学部長として、
何を教えたいかを語った文章である。
こういう文章もいいなあと思う。
要するに、
志のある文章なのだ。
常に訴えたいものがある。
実に若々しい精神の発露があるのである。
こういう文章を読むと、
読者の心にも、
その志が響いてくる。
こちらも若々しくなるような気がする。
一番面白かったエッセイは、
「熊の噛まれた話」。
これは傑作。
というより登場人物がすごいのだと思う。
悲しくなるエッセイもあって、
当然河野さんの死に関わるものはそうだ。
でも、ぼくが一番悲しくなったエッセイは
「三歳の知恵」である。
小学生時代、親と離れて生活した経験が
あるから、
母を失い、父は働くために、
子供を置いて京都に行ってしまっていて、
祖母と暮らさざるをえなかった
幼い頃の永田さんの姿は、
あの頃の自分を思い出させてせつない。


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