初出へのこだわり

2013/06/04

「文藝家協会ニュース」5月号に
「初出へのこだわり」という文章を書きました。
一般には、目に触れることのない印刷物ですので、
以下に再掲させていただきます。

 初出へのこだわり
 
 四冊目の評論集となる『高野公彦の歌世界』(柊書房)を
この春に出版した。二部構成で、Ⅰ部では、高野公彦とい
う歌人との出会いから書き起こして、どのようにして私が
高野公彦の歌の世界に引き込まれて行ったのかを書いた。
Ⅱ部は、高野公彦が入会後の「コスモス」のバックナン
バーを読み通すことによって、高野公彦と師である宮柊
二とがどのように出会い、どのように関わりを持ってい
ったかを明らかにしたものである。
 今回の評論集をまとめるに当たって、私が一番こだわったのは、
初出である。特にⅡ部では、高野の実質上の第一歌集『水木』
(短歌新聞社)に収められた歌について、「コスモス」での初出を
すべて載せた。そこまでする必要があるのかという意見もないわ
けではないが、私は、初出を明らかにすることは、短歌に関わる
研究の基礎資料として欠かせないものだと考えている。それを怠
ってしまうと、短歌に関わる研究は、中途半端なものしか出来上
がらない。近代短歌の研究者も昨今は漸減という実情はあるよう
だが、基礎資料を積み上げてゆくことによってしか、優れた研究
は生まれないのではなかろうか。初出を曖昧にしたままで、歌人
論、作品論を書いても、それは結局砂上の楼閣にしか過ぎない。
短歌評論の分野も書き手が減りつつあるが、何とか基礎資料を
大切にした評論、研究を書いていただきたいと切に願う。


スポンサーサイト
pagetop

コメントの投稿

非公開コメント

pagetop
プロフィール

スズタケ

Author:スズタケ
FC2ブログへようこそ!

カレンダー
06 | 2017/07 | 08
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -