『ゆりかごのうた』

2014/05/06

大松達知くんの第四歌集『ゆりかごのうた』(六花書林)が
刊行された。
この歌集の一番の特徴は、
ご長女の育児に関わる歌がたくさん収められていること。
要するに育メン歌集だということ。
100頁以降ほとんどがそう。
ぼくも共働きだったから、
育児を手伝ったが、
歌にすることはほとんどなかったと思う。
毎日がぎりぎりの状態で、
詠草をコスモスに送っていたこと自体が
今にして思うと信じられない。
もちろん、その頃の歌を読む気はしない。
大松くんの歌集にはこんな歌があります。

・〈ゆりかごのうた〉をうたへばよく眠る白秋系の歌人のむすめ

感想は、ほんまかいな。
ということは、我が家の子供たちにも「ゆりかごのうた」
を歌っていたら、よく眠ったのかなあなどと馬鹿なことを
つい考えてしまう。
でも、ぼくは音痴だから、そもそも話にならない。
この歌の次はこんな歌。

・さんざんにざんざん泣いてゐたりしにはたりと寝たるのちのさみしさ

結句がいいですね。
この微妙なところがいい。
さらに次の歌。

・寝かしつけてふすまを閉める おまへひとり小舟に乗せて流せるごとく

この直喩は下敷きがある気がするが、わからない。
少しおいてこんな歌もある。

・おまへを揺らしながらおまへの歌を作るおまへにひとりだけの男親

まさに育メン歌人ここにありという歌。
ところでこういう歌がぼくは好き。

・きんつばのきんつばによるきんつばのためのわたしの夜のきんつば

ぼくもきんつばが好きだ。
でも、最近は食べない。
食べたいが食べない。
あの甘さはヤバイと思うから。
ところで、この歌はもちろんリンカーンのあの有名な
フレーズをいただいている歌ですね。

さて、最後に気がついたこと。
育メンの歌をいくら読んでも、
この娘さんの名前は出てこない。
そういうものなのだろう。
個人情報ですから。
13年後に娘さんに文句を言われるのを避けたのだろう。
ところが、
小島ゆかりさんの第12歌集には、
大松くんの娘さんの名前が詠まれている。
関心のある方は、
この小島さんの歌集も読んでみてください。
どの頁にあるかなんて親切なことは書かないので、
どうぞご自分でお探しください。
『泥と青葉』という不思議なタイトルがついています。
青磁社から三月に出されました。


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