続 小野雅子歌集『花筐』

2016/07/17

もう少し小野さんの第一歌集『花筐』から紹介します。
全体に小野さんの歌は、清潔感にみちています。
夫を失った境遇に必死に耐えて生きる姿が、
そのまま描かれていて、読者に媚びるところが
全くない点がいいですね。
読者に媚びる歌のある歌集は、
本当に読んでいていやになります。
というより、そういう歌を見つけた時点で読むのを止めます。

・さまざまに問ふをさな子は老いぬまま逝きたる父をあはれと言へり
・ひとたびも父を出迎へしことのなき子がままごとに言ふことのあり
・寡黙なる食事はすみぬひとり子を失ひし姑と夫なきわれと
・ある日ふとグレイのコート姿にてバスを降りくるきみはあらずや
・姑と子とわれとに明くる朝のため夜ふけ厨に洗ふ菜青き
・きみあらぬ夏見の丘に子と住めるカンナの赤き夏をいくたび
・業なかばに早く逝きしを惜しまるる人の誰より夫若かりき
・帰り来る足音を待つ夜のありき朝刊を配り人走りゆく
・蕾もつ松葉ぼたんの苗を買ふ夫が愛でしとひとには言はず
・地に咲く松葉ぼたんを好きと言ふ逝きたる夫と父知らぬ娘と

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