FC2ブログ

「遠泳」

2020/01/18

「遠泳」の作品について書こう書こうと思って、
何と半年以上経ってしまった。
「遠泳」という短歌同人誌が発行されたのは、
平成31年1月20日。
もう一年になる。
ただ頂いたのは、春になってからだと思う。
榊原紘さんから送ってもらった。
その榊原さんの20首「名画座」から紹介してゆきたい。

・生活に初めて長い坂があり靴底はそれらしく削れる

下句がいい。靴底が減るということをこんなふうに詠むのがいい。
発見に対する距離感がいいのかな。
発見にのめりこまない。

・飴玉を右頬に寄せかえすときひかりは百合樹をくぐりくる

「百合樹」には「ゆりのき」とルビがふってある。
下句の繊細な感覚がいい。
そして、上句の具体もいい。
「寄せかえす」が特にいい。

・機嫌なら自分でとれる 地下鉄のさらに地下へと乗り換えをする

初句、二句の断言的なものいいがいい。
隣に誰かいるのかもしれない。
しかし、隣の誰かを無視しつつ降りてゆくのだ。

・雪柳 きみの死に目にあいたいよ ジャングルジムの影が傾いで

雪柳をこんなふうに詠まれては、嫉妬をおぼえるしかない。
というのも、この場所は、
榊原さんと共有しているような気がしてならないのだ。
どこの町のどこの公園か分かるような気がする。
だから、余計に嫉妬を覚える。
一度、榊原さんに共有事項か確認してみよう。

・硝子戸の桟に古びた歯ブラシを滑らせ春の航跡のよう

この歌が一番好きな歌だ。
上句は、ほとんどアララギ的描写なのだが、
滑らせからの展開が実にいい。
世界の視界が一気に開けた気がする。


スポンサーサイト



pagetop

コメントの投稿

非公開コメント

pagetop
プロフィール

スズタケ

Author:スズタケ
FC2ブログへようこそ!

月別アーカイブ
カレンダー
02 | 2021/03 | 04
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -